チャレンジ3776メートル登山総合案内-登山の装備と準備
■登山の装備と準備
登山の装備と準備
 登山道が整備されていて、5合目まではバスなどで乗り入れることができるなど、登山経験がゼロだという人でも登るきっかけが身近に感じられる山が富士山です。だからといって念入りな準備としっかりした装備がなければ、富士山を登ることは危険きわまりありません。
 富士山は特殊な場所です。たとえふもとが真夏日だったとしても、山頂の気温は2けたに届かないという日もあります。そのうえ悪天候の場合、体感温度はそれ以上に下がります。また登山道も急斜面の砂れきや岩場帯、また山開き当初は残雪などがあり、当然のことながら軽装で登山をすることはできません。
 富士登山には、体調管理、装備、持ち物などに十分な準備と装備が必要です。
●準備:数カ月前〜1カ月前まで
「持久力」「心肺能力」「脚力」をつける 持久力と心肺能力はジョギングやウオーキング、自転車や水泳などの有酸素運動で、脚力は踏み台昇降やステッパーなどで鍛えられます。しかし、普段運動の機会が少ない人は、とりあえず歩くことに努めましょう。エレベーターなどを使わずに階段を上り下りするだけでも違ってきます。体力に余裕があれば、標高1000メートルぐらいの軽登山もいいでしょう。ただし、本番に疲れを残さないような時期にしてください。
装備を用意する 持ち物は時間の余裕があるうちに用意し、不備がないようにしましょう。購入は、専門の知識を備えた店員がいる登山用品店がおすすめです。店員に自分の登山経験や富士山に登りたいこと、予算を伝え、相談した上で自分に最適なものを見つけましょう。
スケジュール表を作る 登山前後の時間には空き時間を作る、グループ内で一番体力に自信がない人のペースを基準に計画するのが、計画倒れにならないコツです。登山中に十分な休憩時間を盛り込むことも忘れないでください。
山小屋を予約する 特に登山初心者の方には日帰り登山はおすすめできません。1泊2日以上の余裕をもったスケジュールを立てましょう。日程が決まった時点でなるべく早く予約を入れましょう。週末は特に混雑します。また吉田口の山小屋は、金・土曜日の宿泊は完全予約制になっています。
買った靴を履き慣らす どんなに確認して買った登山靴でも、しばらく履きならさないと足になじまず、靴擦れの原因になります。ぜひ坂道や階段を歩き、足へのフィット感を確かめてください。自分の足にしっかりとなじませ、ひもの結び方やインソール(中敷き)、靴擦れ防止パッド、靴下との組み合わせで微調整しましょう。
●準備:2週間前〜当日まで
体調を万全に整える 登山直近の無理なトレーニングはかえって悪影響を与えます。事前トレーニングを続けてきた人も2〜3日前には中止し、疲労を残さないようにしましょう。1日3回の栄養バランスが整った食事、たっぷりの睡眠など規則正しい生活を送りましょう。
登山装備を点検する 購入しなければならないもの、用意した装備品のほころびや欠陥はありませんか?登山靴もきちんと足になじんでいるか最終確認してください。
●装備:服装
 登山をする上で重要なのは装備。日本一の高峰・富士山は夏山といっても、気象や登山道などの自然条件は他の山とは異なり特別です。当然、登山専用の装備が必要になります。ファッション性もですが機能性を重視。富士山という山の特性を理解して富士登山にあった装備を。登山専門店やアウトドア用品店でアドバイスを受けながら揃えるのもよいでしょう。
【登山靴】快適な登山をする上で最も重要なアイテムのひとつが登山靴。時折、スニーカーなどで登る人を見かけますが厳禁です。富士山は、登りは溶岩や岩場などの固い地面が、下りは砂利や砂れきなどの足元が不安定な道が続きます。キーワードは、「ハイカット」「安定性」「軽量」。山頂を目指すとなると長時間の登山となります。足腰への負担の軽減、転倒やねんざなどのケガの防止、歩行の安定が重要です。必ず試し履きをして、自分の足に合ったサイズ、フィット感をチェックしましょう。素材はレザーやゴアテックスなど防水・通気性に優れた素材のものがおすすめです。靴に砂や小石が入らないように足首を覆うスパッツもあると便利。
【ウエア】富士山は、下は夏でも山頂は冬、午前中は晴れていても午後は雷雨や突然の強風など、あらゆる気象条件を考慮しなければなりません。現在は様々な優れた機能性をもった素材が開発され、下着(Tシャツ)は「吸湿速乾性」、上着(長袖)は「防風・防水透湿性」、ズボンや靴下は「伸縮性」がキーワードとなります。別項【富士登山の注意点】でも述べますが、夏山でも怖いのは「低体温症」。汗や風雨で体温が奪われるのは非常に危険です。一方で「熱中症」の心配もあります。体温調節のために着替えや防寒着の着脱をこまめに行うことも大切です。
【ザック】購入の際には必ず背負いましょう。自分の背丈に合っているか、体とザックの間に余計なスペースがないか、金具の接続や縫合、底がしっかりできているかをチェックしてください。1泊2日の富士登山には、25〜40リットルの容量が最適です。食い込まない適度な幅と柔軟性がある肩ベルト、厚めの肩パッドが背負ったときに楽です。幅広でしっかりした腰ベルトがあると、荷物が揺れず体への負担が減ります。ザックカバーも必ず一緒に用意し、防水スプレーをかけておきましょう。
【帽子・手袋】帽子は、日焼け・熱中症予防だけでなく、小雨の時にも役立ちます。デザインは、つばが広めのキャップやハットが向いています。強風で飛ばないよう、あごひもやクリップで工夫してください。うなじをカバーする日よけ布付き、通気性のあるものはとても快適です。夜間に登る人は、毛糸の帽子があると明け方の寒さを防げます。
手袋は、ロープや鎖を握ったり、岩場をよじ登ったりするときに必要です。軍手は重宝しますが、濡れると水分をため込むので予備を持っていきましょう。手にぴったりとフィットしたものが使いやすいです。
●装備:携行品
 濡れると困る荷物はビニール袋に入れてから、ザックに詰めましょう。またザックの詰め方にも工夫を。使用頻度が高いものは上の方へ入れるのは当然ですが、その中でも軽いものは下に、重いものは上に入れましょう。雨具や行動食などはすぐに取り出せるように最上部またはサイドポケットへ。さらに左右にかかる重さが均等になるように調整しましょう。詰め方ひとつで身体への負担、疲労度が変わります。
【雨具】持ち物の中でも最重要なもののひとつです。ビニール製カッパやポンチョでは富士山の過酷な状況に耐えきれません。登山用の上下セパレート型を選びしましょう。ポイントは@生地が裂けない丈夫さ、浸水を防ぐために縫い目の処理 A動きやすく、脱ぎ着のしやすい余裕のあるサイズ Bファスナー部は雨風が吹き込みにくいダブルフラップ C外からの雨風を防ぎ、中の蒸れた空気を発散する防水透湿素材など。いざという時、防寒着としても利用できます。
【タオル】汗拭き、緊急時の止血、首の日焼け防止、体に巻いて防寒補助、夜寝るときの上掛け代わりなど、さまざまな状況で使えます。バスタオルやスポーツタオルなど異なるサイズを3〜4枚用意しましょう。圧縮袋に入れるとかさばりません。
【ヘッドランプ】どの登山プランでも夜行登山の可能性はあります。両手が使えるヘッドランプを持って行きましょう。天候が変わりやすい富士山には防湿防水型のものが向いています。予備の電池も忘れずに。電池の無駄な消費を抑えるため、電池を紙を包んで容器やビニール袋に入れましょう。
【水・飲料・行動食】富士山では水はとても貴重です。登山中は山小屋以外では補給は困難です。飲料用はもちろん、ケガをしたときの傷口洗浄用など、必要な水分量には個人差がありますが、最低1リットルの水は登山前に持っていきましょう。行動食としては、@手軽に食べられる A登山中に失われたカロリー、糖分、塩分が補給できる B軽くてかさばらないもの、がよいでしょう。定番のアメやチョコレートのほか、おにぎり、各種栄養補助食品、スポーツドリンクなど。ただし食後に出たごみは必ず持ち帰るよう心がけてください。
【サングラス・日焼け止め】晴れた日中の富士登山は、日差しをよける場所がないため直射日光がまともに当たります。紫外線予防のためにもぜひ用意しましょう。サングラスは、特に砂走りなどを下山する時、砂ぼこりからも目を保護できます。チューブタイプの日焼け止めは低気圧下では破裂のおそれがあるので、中身を別の容器に移し替えてください。首筋や腕、顔はもちろん、帽子の外に出てしまう耳にも塗りましょう。
【携帯電話】通常の使用はもちろん、現在では遭難時の連絡手段として登山には必携です。補充用電源とともに持っていたほうがいいでしょう。GPS携帯は捜索活動の有効な手段のひとつになります。携帯電話各社とも順次通話エリアの拡大を行っていますが、電波は機種や周辺環境、外部状況等によって状態も変化します。休憩の際などに電波の状況を意識して見るように心がけましょう。通話エリアについては各社に事前に問い合わせておくことをおすすめします。一方、山小屋での就寝時には着信音を切るなど、マナーに気をつけてください。
【防寒着】おすすめは保温用のフリースやセーターの上に防風用のダウンジャケットやウインドブレーカーを着る方法。
【着替え】大量の汗や雨で濡れたままの衣服は体温を急速に奪うので、体力が激しく消耗してしまいます。下着、靴下、手袋の替えは必ず用意しましょう。
【杖】 歩行の際の補助具として山登りには有効な道具の一つ。上手に使えば脚力の補助、体のバランスを取る、疲労や足腰への負担を軽減などが期待できます。特に下りなどではひざや腰を痛めないためにも有効です。登山用品店に行けばコンパクトにしまえたり、バネがあったり、軽量化されていたりする登山専用のものが売られています。グリップにひもが付いていると落とすことを予防できます。足腰の弱い人、ひざに不安がある人にはダブルストックがおすすめ。定番の金剛杖ももちろん役立ちます。小屋ごと異なるデザインの焼印を押してもらいながら頂上まで行けばよい記念品にもなります。
【地図・ガイドブック】富士山NET「アタック富士山」のページや各種パンフレットに載っている、山小屋の位置や登山道の距離・高低差が分かるものが役に立ちます。ビニール袋に入れるなど、濡れない工夫をしておきましょう。
【トイレットペーパー(水溶性ティッシュペーパー)】山小屋のトイレで使う紙は「自分で用意するもの」と思ってください。しかし、普通のティッシュペーパーは水に溶けないので使用できません。トイレットペーパーは芯を抜いてつぶすと余計なごみが出ません。
【ビニール袋】ビニール袋は大小いろいろなサイズを用意しておくと、持ち帰るごみや汚れた着替えを入れたり、ザックカバーの代わりになったりと、さまざまな用途に役立ちます。
【新聞紙】体に巻いて防寒、座布団がわり、雨に降られたときに靴を乾かすのに使ったりと用途多彩です。
【薬・救急用品・保険証】いずれもいざというときのために携行を。救急用品にはテーピング用のテープ、ばんそうこう、ガーゼ、コールドスプレー、携帯用酸素などがあるといいでしょう。症状が重いときは必ず救護所へ。
【小銭】トイレのチップ、山小屋での買い物ではお釣りのないように。特に100円玉は多めに用意しましょう。
【携帯灰皿】喫煙者は持参し、吸い殻は必ず持ち帰りましょう。
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