チャレンジ3776メートル登山総合案内−予報士の気象解説
■予報士の気象解説
◇登山シーズン到来  太平洋高気圧が列島覆う 山頂も晴れる確率急上昇
 富士山の山開きは7月1日。しかし、通常この時期は梅雨の真っ最中です。山開きしたものの好天に恵まれた夏山登山を楽しめるチャンスは、めったにありません。気象的にみた富士登山シーズンは、梅雨が明けてからとなります。

登山シーズン到来
夏山シーズンを迎えると登山道は山頂目指す人で列をなす=富士山6合目付近
 梅雨明け後は、太平洋高気圧が日本列島に張り出してきて、列島が夏の空気にすっぽり覆われます。特に、等圧線で描かれた太平洋高気圧の張り出しが、クジラの尾の形に似て列島全体を覆ってくると天気は長く安定し、夏山登山を満喫できるわけです。「梅雨明け十日」という言葉は、梅雨明け後にそうした気圧配置になりやすいことから生まれた言葉です。

 山梨の梅雨明けは平年で7月20日です。富士山のふもとの河口湖の晴れる確率を見ると、7月中旬までは30%前後なのに対して、下旬から8月にかけて約50%になります。7月下旬から晴れる確率が上がるのは梅雨が明けたからです。富士山測候所の観測では、午前9時に晴れている日数が1カ月で20日を超えるのは11月から2月にかけてと8月です。冬型の気圧配置となる冬季と太平洋高気圧に覆われる盛夏期に晴れる日数が多いわけですが、冬季の富士山は「極寒強風の世界」なので一般的な登山には向いていません。

 平均気温、最高気温がプラスになるのは6月から9月まで4カ月間で、最低気温もプラスになるのは7、8月だけです。風を見ると、最大風速が10メートルに達しない風の弱い日が最も多いのは8月の13.2日、続いて7月の9.5日。平均風速が最も小さい月も8月の7.3メートル、続いて7月の8.5メートルです。

 梅雨明け後の7月下旬から8月。富士山は天気が安定し、年間で最も気温が高く、風も弱い、登山にとって最適シーズンを迎えます。この時期に富士登山を楽しむ人は毎年十数万人に上ります。

 快適な富士登山とは言っても、富士山は3,776メートルの日本一高い山。高山病や天気の急変などに注意が必要です。体力の過信や、安易な気持ちでの登山は禁物です。
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