チャレンジ3776メートル登山総合案内−予報士の気象解説
■予報士の気象解説
◇夏に降る雪  その年の最高気温日が境 直前が終雪、直後は初雪
 富士山では夏に雪が降ることがあります。記録に残る最も早く降った初雪は7月8日。1933(昭和8)年のことです。山開きから1週間後に、もう初雪となったわけですから、さすが日本一高い富士山。もちろん日本で一番早い初雪の記録です。平均日でいうと9月10日になります。

夏に降る雪
 初雪があれば一方で、終雪という記録もあります。これは、その冬の最後に降った雪のことで、富士山の終雪平均日は7月5日になっています。

 「おや?」と思った人がいると思います。終雪の平均日が7月5日とすれば、当然、7月8日以降に終雪が記録されている年もあります。初雪の最も早い記録として7月8日があるように、ある年の終雪日が、別な年の初雪日より遅いケースが出てきます。となると、夏の富士山に降った雪は、過ぎ去った冬の名残雪か、それとも来る冬の先駆けなのか迷ってしまいます。

 平地では、例えば北海道の稚内でも夏は雪が降りません。初雪と終雪の区別は簡単です。1年を通して雪が降る富士山ならではの悩みとなります。そこで統計上は「その年の最高気温を観測した日を境に、その直前が終雪、直後が初雪」と決めています。つまり、終雪か初雪かは、富士山の夏が終わり、最高気温となった日が確定しないと決まらないわけです。

 ところで、年間を通した富士山頂の月別平均降雪日数を見ると、最も少ない8月で0.2日。最も多いのは3月で17.1日、続いて4月の14.6日となっています。富士山は真冬ではなく春の3、4月に雪の最多シーズンを迎えます。雪の深さ(積雪)も12−2月が148センチなのに対して、3−5月は207センチと、春に雪が最も深くなります。富士山は太平洋側に位置するため、真冬のシベリア高気圧による雪よりも、春先の南岸低気圧による雪が多いわけです。

 山頂での初雪とは別に、ふもとから初めて山頂付近の雪を観測した日を初冠雪日と呼びます。河口湖測候所での平均日は9月27日、甲府地方気象台は9月30日。初雪から2、3週間遅れの観測となります。河口湖測候所は2003年9月で有人観測が終了し、初冠雪の観測も幕を閉じました。

 【注】富士山頂にある富士山測候所が2004(平成16)年9月30日で常駐観測を終了したため、「初雪情報は提供できなくなる」(気象庁)とコメント。以降、初雪情報は発表されていません。
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