富士山講座 山梨日日新聞の連載から
 第4回 渋滞慢性化する登山道
維持、管理へ入山料視野
 登山シーズンのピークを迎えた8月中旬、未明の富士山吉田口登山道は、無数の懐中電灯の明かりが頂上へと続いていた。9合目付近は大混雑で先に進むことができない状態に。徐々に白み始める東の空に焦りを感じた登山者からは「早く行けよ」と怒号が響く。業を煮やした若い男性グループは登山道を外れ、頂上を目指して急な岩場をよじ登り始めた。

 今夏、週末の未明から早朝にかけて、山頂直下の登山道は登山者の渋滞が慢性化した。登山ガイドの男性(31)は、急傾斜に多くの人が集中する状況を「いつ将棋倒しになってもおかしくない」と指摘する。登山道を外れて追い越そうとするケースは少なくなく、「下方に多数の登山者がいる中で、落石を誘発させる恐れもある。危険きわまりない」と語気を強めた。

 吉田口登山道のほとんどは県道。今年は登山道の破損個所が目立ち、階段状に積み上げた石が崩れていたり、案内板が倒れるなどの事例が散見された。登山道を管理する県富士・東部建設事務所は「登山者が増えた分、修理や保全が必要となる個所も増えている」と説明する。登山道の通常の維持・管理だけで毎年約2000万円、土砂よけの洞門や堤の整備、補修に約1億円が必要という。

 富士吉田市の堀内茂市長は2日の記者会見で、登山者から料金徴収を行う入山料の必要性について言及。「ごみ処理などで財政負担をしている。自然環境保護のためにもそれなりの規制があってもいい」と力を込めた。

 1999年、故天野建元知事が必要性を訴え、一時議論が活発化した経緯がある入山料徴収。その後立ち消えになっていたが、堀内市長の発言を受け、横内正明知事、渡辺凱保富士河口湖町長も前向きな考えを示すなど議論の再燃が予想される。
 「入山料徴収や入山制限は極論」と慎重論がある一方で、登山者の安全確保への懸念や富士山固有の自然環境破壊の恐れなど、突き付けられた現状を前に、山小屋関係者からも「そろそろ真剣に考える時期かもしれない」との声が漏れている。
2008年9月6日掲載


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