水面に映る幻想的な光景

水面に映る幻想的な光景
 水面が鏡のように反射して、富士山がくっきりと上下反転で映る光景「逆さ富士」。本体と線対称な鏡像の2つの富士を同時に楽しめる。

 逆さ富士が見られる場所といえば、まずは山梨県の富士五湖。特に本栖湖は、旧五千円札と現千円札の裏面に描かれた逆さ富士のモデルとして有名。採用されたのは、富士山写真の第一人者・岡田紅陽が、1935(昭和10)年に撮影した「湖畔の春」から。全国からカメラマンが訪れる絶景スポットとなっていて、その瞬間に挑んでいる。河口湖畔の大石公園は、湖周辺の中でも富士山の絶好のビューポイントとして知られ、波が比較的おだやかで、湖に映る逆さ富士が見える場所として人気がある。山中湖では、秋と冬の年2回、富士山頂に太陽が沈むダイヤモンド富士が楽しめ、運が良ければ、ダイヤモンドが湖面に映る「ダブルダイヤ」=写真=が見られることも。

 川面に映り込む逆さ富士といえば、忍野村の新名庄川のお宮橋周辺。春、川沿いに植えられたソメイヨシノと富士山との“競演”が楽しめるスポットで、川の水量によっては、川面に映る逆さ富士が楽しめる。

 一風変わったところでは、水田に映る逆さ富士。富士吉田市の城山東農村公園や忍野村内野の水田地帯=写真=など、5月中旬から下旬にかけて田植えが本格化する一時期、条件が揃えば田んぼに富士山が浮かび上がる。

 山梨県外では、富士山の山頂から朝日が昇るダイヤモンド富士が湖面に映る「ダブルダイヤ」が見られる田貫湖(静岡県)や、芦ノ湖(神奈川県)などが有名。

 逆さ富士を見るために最も重要なのは気象条件。雲がなく快晴であること、無風で水面に波が立たないことが必須となる。早朝(午前5時ぐらい)、気温が低い時期に見える可能性が高いと言われている。

 江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の「富嶽三十六景」に、「甲州三坂水面」がある。三坂(御坂)から見た富士山と河口湖、湖畔の集落が描かれていて、湖面に映る「逆さ富士」で有名な作品。悠然と構える夏山を描きながら、手前の河口湖面に映る逆さ富士は雪をかぶった冬山。入り江などの細部は実際に現地を訪ねたことをうかがわせるほどリアルに描かれているが、奇をてらった大胆な仕掛けが施されている。

山梨日日新聞社 YBS山梨放送
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