北海道にある“富士と山梨”

北海道にある“富士と山梨”
 全国各地にある「富士見」の地名。その一つが山梨県から遠く離れた北海道倶知安(くっちゃん)町に存在する。富士山とよく似た姿を持つ独立峰「羊蹄山」(1898メートル)の眺望スポットであることが地名の由来。

 羊蹄山周辺は約100年前、山梨県民が移住先に選んだ地域でもある。均整の取れた美しい山体が霊峰と重なって見えることが移住先の決め手になった。

 倶知安町教委によると、羊蹄山は富士山によく似た円すい形のフォルムから別名「蝦夷富士」とも呼ばれる。江戸時代の文献にも登場し、「富士山を直に移居へたるごとくなる高山なり」という記述が残っている。

 町内の富士見地区は羊蹄山の北麓に位置。姿のいい山体を眺められるエリアであることから命名されたという。

 町には「山梨地区」が存在。隣町の京極町には「甲斐地区」もある。いずれも明治40(1907)年の台風で被災した山梨県民3137人(660戸)の移住先の一つだったことが由来となっている。

 「山梨地区」「新山梨地区」が残る豊浦町は羊蹄山の南方に位置する自治体。町教委によると、両地区には山梨県から計960人(199戸)が移り住んだ。

 その後、山梨県に戻ったり、別の地域に再移住したりしたこともあり、消息はほとんど分かっていない。町教委が確認している範囲で移住者の子孫は10戸未満という。

 移住先選定の理由の一つとして羊蹄山の存在が挙げられている。町教委の担当者は「富士山とよく似ている羊蹄山は新しい土地で暮らすことになった山梨県民の心のよりどころになっていたのだろう」と推測する。

山梨日日新聞社 YBS山梨放送
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