幻の湖からワイン誕生

幻の湖からワイン誕生
 2011年に富士河口湖町の精進湖脇に出現した幻の湖「赤池」の水中から、山梨大ワイン科学研究センターの柳田藤寿教授が、ワイン醸造に優れた能力を発揮する酵母を見つけた。試験では、市販の酵母で造ったワインにひけを取らない上質なワインの醸造に成功。

 赤池は「富士6湖」ともいわれ、7、8年に1度程度のペースで出現する。大雨などの影響とみられ、近年では1991、98、2004、11年に現れた。

 酵母は栄養分の少ない水中にはあまり生存しておらず、柳田教授が04年の出現時に採取した水からは見つからなかった。11年9月の出現時に18リットルを採水したところ、ワインや日本酒の醸造に使われる「サッカロマイセス・セレビシエ」という酵母11株を発見、取り出すことに成功した。

 酵母はワイン造りに不可欠な微生物。酵母がブドウの糖分を分解することでアルコールを生成する。同じ酵母でも株ごとにアルコールを分解する能力が異なるため、ワイナリーは一般的に能力が安定した市販の酵母を使っている。

 赤池で見つかった11株のうち4株は、試験で市販酵母に劣らない能力をみせた。特に3株は、製造コストを抑えられる低栄養の状態でも安定した働きを発揮。人が味や香りなどを点数化する官能評価では、市販酵母を使ったワインを上回るものもあった。



 白百合醸造(甲州市勝沼町)が2014年9月、13年産の甲州種ブドウと赤池の酵母を使った白ワイン「赤池幻酵母2013」を発売。1千本を限定で同社併設のワインショップなどで販売。翌年にも「赤池幻酵母ワイン2014」(白、赤)を販売。



 酒類卸のマツムラ酒販(甲府市小瀬町)と、ワイン醸造のアルプスワイン(笛吹市一宮町)が2015年4月、ワイン「富士山 赤池幻酵母」(白、赤)を発売。赤池の酵母と県産ブドウを使用。「富士山」の商標を持つ企業と契約して独占使用権を得て、商品名に冠した。ボトルは富士山のなだらかな山形をイメージし、ブルゴーニュボトル(720ミリリットル入り)を採用。キャップシールも特注。マツムラ酒販関連会社ミレックスジャパンが各8千本を販売。

山梨日日新聞社 YBS山梨放送
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