富士と力士

富士と力士
 富士は日本一を表すとして、力士のしこ名に用いられるケースが多く、歴代の横綱の中では東富士、北の富士、千代の富士、旭富士、日馬富士と5人が使っている。

 しかし「富士」を頭に使うケースは、山梨県出身力士の「専売特許」のようなもの。昭和以降、郷土力士で最初に入幕した富士ケ嶽(のち若港)に端を発する。富士ケ根部屋所属、富士山直下の鳴沢村出身、引退後も富士ケ根親方を名乗り、まさに富士づくし。昭和初期に幕内16場所を務め、最高位は前頭3枚目。当時としては190センチの長身で、つりを得意とした。

 「富士」のしこ名を全国にとどろかせたのが、幕内優勝(1964年7月場所)をした押し相撲の富士錦(甲府市出身)。横綱東富士にスカウトされての入門だった。小結まで昇進した富士錦を慕って山梨から入門する力士が続き、ほとんどが「富士」を用いた(富士晃、富士昇など)。この中で大成したのが富士桜(甲府市出身)。突き押し一筋の相撲ぶりは「突貫小僧」の異名をとり、郷土力士としては最高の関脇まで昇進した。

 直近では2007年に引退した緑富士(中央市出身、後に富士龍に改名)がいる。谷村工高から専大に進み、阿武松部屋に入門した。最高位は幕下筆頭。三段目当時の2002年3月場所では、現在の横綱白鵬に「つりだし」で勝利。全勝で迎えた優勝決定戦では安馬(後の日馬富士)に敗れたが、2場所連続全勝など活躍した。

 「富士」のしこ名はその後、山梨にとどまらず全国区に。九重部屋のように部屋の伝統として受け継がれたり、抜きん出た強さや気高さを願って付けたりする傾向があるようだ。2019年夏場所では、しこ名に「富士」がある幕内力士は、北勝富士(埼玉)、宝富士(青森)の2人。



 なお、山梨県甲府市出身の竜電=高田川部屋=が2018年初場所に新入幕。郷土力士の新入幕は、1988年春場所の大乃花(笛吹市出身)以来30年ぶり。2019年名古屋場所には新三役に昇進、番付は西小結。郷土力士の新三役は富士桜が1972年秋場所に小結となって以来47年ぶり。関取(十両以上)経験者が序ノ口に陥落して新三役となるのは、明治以降では初の快挙。

 入幕後の成績は以下の通り。
富士山NET−富士と力士
場所 番付 成績 備考
2018 東前頭16枚目 10勝5敗 敢闘賞
西前頭9枚目 8勝7敗
東前頭7枚目 3勝12敗
名古屋 西前頭15枚目 8勝7敗
東前頭13枚目 10勝5敗
九州 西前頭3枚目 6勝9敗
2019 東前頭7枚目 6勝9敗
東前頭11枚目 10勝5敗
西前頭5枚目 10勝5敗 技能賞
名古屋 西小結


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