野生動植物保護へ富士山に「緑の回廊」

野生動植物保護へ富士山に「緑の回廊」
 ツキノワグマなど富士山麓の野生動植物の生存エリアを確保するため、林野庁が2002年9月、森林を結ぶ「緑の回廊」を富士山地域(山梨、静岡両県)と丹沢地域(山梨、神奈川、静岡三県)に設定した。当時、ツキノワグマのような大型動物が通る通路は国内では例がなく、全国でも初の試みとなった。また、山梨県内に緑の回廊が設定されたのは初めてで、両地域とも国有林よりも県有林などが多く含まれているのが特徴となっている。

 緑の回廊は、野生の動植物が生息する森林を広範囲に連結して生息・保護区域を確保することで、動物を自由に行き来させたり、植物の繁殖を助けるのが目的。回廊は原則として、人工林の皆伐や林地の開発を認めない。動物の狩猟、植物の採取もできなくするが、有害鳥獣駆除については認め、他の野生動物への影響を抑えるなどのルールを取り決め、動植物の生態保護を進める。

 関東森林管理局によると、富士山緑の回廊は、富士山の標高1500メートル以上から森林限界域までの幅で、山梨県側の県有林と、静岡県側の国有林を帯状に「C」型に結ぶエリア。幅約2キロ、延長約24キロ、総面積約5735ヘクタール。うち県有林は約3600ヘクタールで、鳴沢村ほか一町二か村恩賜県有財産保護組合と富士吉田市外二ケ村恩賜県有財産保護組合が管理している地域。

 緑の回廊構想は1996年に、富士吉田市を訪れた岩垂寿喜男環境庁長官(当時)が、富士山の緑を植林してつないで野生生物の移動経路を確保したいとして、具体化に意欲をみせた。その後、2001年9月から、山梨、静岡、神奈川の3県の関係者や学識者による設定委員会を設けて協議し、2002年9月4日の第三回委員会で設定案が了承された。

山梨日日新聞社 YBS山梨放送
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