<安全登山> 高山病

<安全登山> 高山病
 標高が上がると気圧は低くなる。富士山頂の気圧は平地の6割ほど。この気圧の低さが肺の酸素を取り込む圧力を低下させるため、体内に取り込める酸素の量が減る。これを受けて現れる症状が「高山病(高度障害、山酔い)」だ。

 富士山吉田口環境保全推進協議会が2012年夏、富士登山者573人を対象に行ったアンケートで、半数近い281人が「高山病になった」と回答。うち69人が重度の高山病を訴えた。調査に当たった専門家によると、初めて富士登山をした人や、3人以上のグループで登っていた人の多くが発症する傾向がみられ、初めて富士山に登った人は標高3000メートル以上の環境に体が慣れず、グループで登った人は自分に合ったペースで登れないなどの理由で、高山病の発症率が高かったとみられる。

 また、夜間に5合目から睡眠をとらないまま一気に頂上を目指す「弾丸登山」者も、睡眠不足や体が高地に慣れないため、高山病発症率が高い。

 さらに、吉田口8合目に設置した富士吉田市救護所の集計では、2012年の受診者数は420人で、受診者の64.5%が高山病だった。

 高山病の主な症状は軽い順に、

  1.心拍数が上がる、呼吸数が上がる、全身の疲労や脱力感
  2.軽い頭痛、眠気、あくび、だるさ、息切れ、食欲不振、睡眠障害
  3.重い頭痛、吐き気
  4.嘔吐(おうと)

となっている。登山中に発症したらとにかく休憩をとる。気分がどうしてもすぐれなければ救護所か山小屋へ避難し適切な対応をとることが大切。それでも治らない場合は様子を見て必ず下山する。

 高山病になるかどうかは実際に登らないと分かりませんが、できる限り高山病にかからないようにするための予防法を紹介する。
富士山NET−安全登山・高山病
登山までの数カ月は心肺機能を高める有酸素運動を。別の山などででトレーニングをすることも有効。1〜2週間前からは体力の温存を。
たっぷり睡眠と、栄養バランスのとれた3食の食事で体調を整えて。持病のある人は事前に必ず医師に相談を。
富士スバルライン5合目(標高2305メートル)から登る場合、到着したらすぐに登り始めず、まずは「高所順応」を。トイレを済ませ、軽いストレッチなどをしながら1時間ほど5合目に滞在し、酸素濃度が低い空気に体を慣らす。
各自が自分に合ったペースで登る。全体的にゆっくりとしたペースを保ち、小股ですり足のように登る。序盤は意識してスピードを抑えて。息が乱れず、うっすらと汗がにじむ程度が良いペース。
疲れて呼吸が浅い時、胸式呼吸をしがちな女性は特に腹式呼吸を心がける。息を吐くことに努めると、体は反動で普段以上に空気を吸い込もうと働く。それでも息苦しいときは、吸い込んだ後2秒ほど呼吸を止めてみる。掛け声も有効。
携帯用酸素ボンベによる酸素吸入は、序盤のまだ空気の薄さに体が慣れていないときや、疲労がたまったとき、睡眠の導入時の使用が有効。
ズボンやザックのベルト類は締めすぎに注意。肩こりは頭痛の原因になり、腹部の過度な締め付けは腹式呼吸を妨げる。気圧低下により、体はふもとにいる時より膨張するので標高に合わせ調節を。荷物の中身の片寄りも体に悪影響を与えるので、適宜修正を。
水分をこまめに少量ずつとる。標高の上昇や発汗によって水分不足となった体は、高山病にかかりやすくなる。摂取目安は1日最低2リットル。食事でのお茶やみそ汁なども有効。エアコンの効いた5合目までの車の中、休養時や睡眠中の発汗でも脱水が進行することをお忘れなく。


山梨日日新聞社 YBS山梨放送
当ウェブサイト上の掲載情報、写真等の無断複写・転載を禁止します。