富士の麓で映画祭

富士の麓で映画祭
 「富士山・河口湖映画祭」は、日本の象徴である「富士山」と最先端の映画映像文化を融合させ、発信していくことを目的とした映画祭で、毎年2月23日の「富士山の日」を記念して、山梨県富士河口湖町の勝山ふれあいセンター「さくやホール」で開催される。同町などが実行委員会を組織、主催している。第1回の開催は2008年。

 映画祭は映画シナリオコンクールの表彰式と映画化された同コンクールグランプリ作品の上映をメインに、記念講演や各種映画作品上映などからなる。

 映画祭開催に先立ち、前年の10月から11月にかけて映画シナリオコンクールを実施。富士河口湖町を舞台としたオリジナルのシナリオ作品を一般から募集する。グランプリ1点、準グランプリ2点、入賞5点を選出し、映画祭当日に表彰式を行う。グランプリ作品は映画化され、シナリオを基に町内などでロケを行い、翌年の映画祭で完成作品を上映する。

 映画制作費は町が負担。撮影は町内の商店街や民家ほか、時には富士急行線の電車を貸し切るなどして行われる。町内企業から衣装などの協力を得たり、町民がエキストラとして出演したりと町全体で“おらが町の映画”作品を制作。同町には映画館はないが、映画制作、映画祭を通して「映画の町」としての地域振興を図る。



 富士河口湖町は「開催費用と集客のバランスが不釣り合いだった」ことなどを理由に、2017年2月の第10回を節目に映画祭の終了を決定。第10回はシナリオ募集は行わず、映画上映だけを行う。



 映画祭開催日と歴代の映画シナリオコンクールグランプリ作品は次の通り。
富士山NET−富士山・河口湖映画祭
開催回 開催日 映画シナリオコンクールグランプリ受賞作=ストーリー
第1回 2008年
2月23日
「湖(うみ)の中の観覧車」
 離婚が決まった父親が娘との別れを前に河口湖を訪れ、それぞれの葛藤(かっとう)の中できずなを深めていく。
●受賞者=鈴木そなたさん(静岡県)
第2回 2009年
2月22、23日
「小さな大きな富士山と」
 東京から富士河口湖町に帰郷した長女と、イチゴ農園を営む両親や認知症で施設に入所することになった祖母が交流しながら、家族のきずなを深めていく。
●受賞者=石田晶子さん(東京都)
第3回 2010年
2月20、21日
「雨の日の富士山」
 富士山麓の古里を離れたい女子高生の心情や家族とのやりとりを通し、ふもとで育った人にとって富士山の存在の大きさを描く。
●受賞者=永田健さん(東京都)
※映画作品名は「いつか見る富士山」
第4回 2011年
2月19、20日
「鐘楼のふたり」
 関係が冷え切ったカップルが、別れるために富士河口湖町へ旅行に出掛ける。旅先で出会った人を通じて、2人の大切さを再認識するまでの気持ちの変化を描く。
●受賞者=吉田忠史さん(埼玉県)
第5回 2012年
2月18、19日
「富士美高校演劇部物語・ジョフクの恋」
 高校の演劇部に新しく入部した男子生徒と女子部長が徐福伝説を基に演劇をつくるストーリー。脚本の制作や演技を通じて、二人の仲が深まっていく青春の一こまを描く。
●受賞者=松永良平さん(山梨県)
※映画作品名は「ジョフクの恋」
第6回 2013年
2月23、24日
「未来のウエディングブーケ」
 両親を亡くしためいと、彼女を育ててきた女性の絆を描いた作品。子どもがいる男性との結婚を決めためいと女性が衝突しながらも、お互いの間には強い絆があることを再確認していく。
●受賞者=西史夏さん(兵庫県)
※映画作品名は「ブーケ 〜a bouquet〜」
第7回 2014年
5月10、11日
「再生〜霊峰富士に抱かれて〜」
 妻を亡くした富士河口湖町在住の男性と、東日本大震災で家族を亡くした少年との交流を描く。再生をテーマに、男性と少年が妻や家族の死から立ち直るまでを表現。
●受賞者=外川桂さん(山梨県)
第8回 2015年
2月21、22日
「サブちゃん」
 ホテル送迎の運転手男性と、その男性の元に現れた少年とのやりとりを描いている。少年は男性と離婚した妻との間にできた一人息子。互いに親子であると気付きながら、それを告げることができない男の不器用さや、少年の葛藤を表現。
●受賞者=渡貫涼子さん(千葉県)
第9回 2016年
2月20、21日
「春待ちかぼちゃ」
 実家で農業を手伝う女子高生が主人公。自慢のカボチャを町の名産品コンクールに出品したが落選し、結果を受け止められない状況から現実と向き合い再スタートするまでを描いた。嫉妬心や自尊心など若者の心の機微、精神的な成長をコミカルに表現。。
●受賞者=水元久美子さん(静岡県)
第10回 2017年
2月25、26日
上記9作品の上映。


山梨日日新聞社 YBS山梨放送
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