【富士山防災 噴火に備える】 地元住民高まる関心

【富士山防災 噴火に備える】 地元住民高まる関心
■避難先の確保これから

 「近所には高齢者もいる。避難のための集合場所が遠いと困る」「マイカーで避難すると道路が大混雑しないか」。6月21日、富士吉田市松山地区であった富士山噴火に関する防災研修会。参加した住民は、火山防災の取り組みを解説した市富士山火山対策室の職員を質問攻めにした。

 【写真】富士山噴火に関する市職員の説明に耳を傾ける住民。噴火に対する住民の意識は高まっている=富士吉田市新西原3丁目

 防災研修会は松山連合自治会と松山自主防災会が定期的に開いていて、富士山噴火をテーマにしたのはこの日が初めて。自主防災会の佐藤達会長は「決して人ごとではない。富士山噴火への住民の関心は高まっている」と話す。

 市にはいま、富士山噴火に関する講演依頼が市内の自主防災会から次々と舞い込んでいる。対策室の担当者が出向き、富士山の噴火の歴史や形態、ハザードマップなどについて説明する。だが、「その時」にどう避難すればいいか、市民の関心が高い避難方法に関しては詳しく解説することができないでいる。

◎県に調整を依頼

 山梨、静岡、神奈川の3県などでつくる協議会は今年3月、富士山噴火に備え、広域避難計画対策編を策定した。大規模な噴火が起きた場合、富士北麓7市町村で最大8万4千人の避難が必要と明示。住民はマイカーで避難するのが原則で、高齢者など車を持たない人は自治体が用意するバスなどを利用するとした。

 問題は、避難先がまだ決まっていないこと。富士吉田市は昨年末、市内33の自治会ごとに避難する方針をまとめた上で、県に対し、避難先となる北麓7市町村以外の県内市町村との調整を依頼した。ただ、「なかなか進展がない」(市幹部)という。

 県が初めて受け入れる側となる市町村に態勢を整えるよう呼び掛けたのは、今年5月に開いた防災担当者会議の席上。その後、具体的な動きはない。県防災危機管理課は「北麓7市町村全体の考えがまとまらなければ避難先は具体化できない」と説明、現在、意向確認を進めているという。

◎複合災害も想定

 受け入れ市町村の反応は複雑だ。国中地域の市の担当者は「市外者の受け入れを想定したことがない。避難所の運営が円滑にできるだろうか」と懸念。大地震の後に噴火が起きるなど複合災害のケースも想定される。「その場合、こちらも被災自治体になる。その場合はどうすればいいのか」と困惑を隠さない。

 57人が死亡、戦後最悪の火山災害となった昨年9月の御嶽山(長野、岐阜県)噴火を受け、富士北麓自治体の危機感は一気に高まった。300年以上沈黙を続ける富士山は、「次」が大規模な噴火となる可能性も指摘されていて、市富士山火山対策室は「一日も早く避難態勢を固めたい」と準備を急ぐ。

 市内でも富士山に近い上吉田地区に住む男性(65)は、5月に爆発的な噴火があった口永良部島(鹿児島県)で住民の迅速な避難に感心した。「備えの大切さを感じた。富士山でも早く避難方法を決め、住民が知っておかなければならない。それが安心につながる」

山梨日日新聞社 YBS山梨放送
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