1952(昭和27年)10月26日付

1952(昭和27年)10月26日付
『冬山へ早くも賑わい 富士登山も大衆化 スキーなど 団体客の申込み殺到』

 初雪を例年より7日早く見た富士山は、全山紅葉の真っ盛り。冬山シーズンを控え地元観光団体や麓鉄には早くも各地からスキー、スケートの照会や申し込みが殺到している。

 今夏の登山記録から推して冬の富士山は戦後最大のにぎわいを見せるのではないかと予想されている。現在まで麓鉄へ申し込みのあった団体は、12月23日から富士山で合宿訓練を始める県下高校スキー部会をはじめ、第7回県下スキー選手権大会、高校スキー競技会、国体予選スキー競技会ほか計10団体による催しで、いずれも富士山を予定しているが、これに先立ち、日本山岳会でも冬山の第1陣を目指して集団登行する計画を進めており、幸先よいスタートぶりを見せている。近年、冬の富士山は登山者が増加し、次第に大衆化の傾向をみせているが、本県側では吉田、船津口が多く、夜現地に到着し明け方から登はんを開始する者が大多数を占めている。

 宿泊施設としては5合目の芙蓉荘があり、収容人員は50名。今冬は県直営を麓鉄に委託し、管理人を置いて登山者のサービスに当たる予定で、料金は素泊り200円前後、また吉田口登山者には佐藤小屋が昨年通り開設されるが、県で新設した救護所は開設未定となっている。

 しかし冬の富士山は夏季のようにだれでも簡単に登れるというわけにはいかず、安易な考え方は禁物で、谷川岳のような雪なだれこそないが、結氷面を登行中、富士山特有の強烈な突風に遭うと転落する危険があるので、油断はできない。昨年山の犠牲となった東大生も悪天候を無理して登り、風のため体を滑らせたのでピッケルを使ったが、運悪く手先のロープが切れて転落死した実例もある。一方、スキーヤーのためにはシーズンオフを利用できる大沢付近の高級者向き適地もあり、5合目の林間は初心者も滑れるので、視界のきく時の富士山スキーはほかで味わうことのできない長所を持っている。今冬から新設の船津2合目県営スキー場も、シーズンまでには受け入れ態勢を完備する予定で、このほか馬返の一部、鈴ケ原ゲレンデも初心、中級者に適しており、特に貸しスキーの準備も□坂と船津両スキー場に計画されているという。【当時の紙面から】

山梨日日新聞社 YBS山梨放送
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