富士山信仰に関わる最古の神像

富士山信仰に関わる最古の神像
 山梨県南アルプス市江原にある江原浅間神社のご神体の女神像「木造浅間神像」。富士山信仰に関わる最古の神像とされる。

 神像は高さ40.5センチ。背中合わせに三方を向く女神像が、半身の如来像を囲む特異な形式をとっている。女神はいずれも髪を長く垂らしている。2012年6月、同市教育委員会の調査で、一本の木を中空にせずに彫り出す技法や、各像の髪と台座にのみ目が残ることなどから、平安時代に作られ、富士山信仰に関わる最古の神像である可能性が報告された。

 その後、文化庁の調査官が、神像の形態や制作年代に関する基礎調査を実施。目鼻や衣の縁をくっきりと刻み出す刀法、胸の厚い体形などの特徴から平安時代(11世紀中ごろ)の制作と推定。古代の富士山信仰に関わる唯一の神像と判断した。

 富士山の噴火が鎮まるよう祈念するため、奈良−平安時代に建てれらたとされる浅間神社の神像のうち、これまでは忍野村の忍草浅間神社にある「木造女神坐像」(1315年作、重要文化財)が、富士山信仰の最古のものとされていた。

 現代祭られる「コノハナサクヤヒメ」のように、富士山と女神を結びつける考えは古くからあった。平安時代初期の「富士山記」では、美女2人が富士山頂で舞ったことが記されている。文化庁は「神像は信仰のルーツをたどる手掛かりになる」としている。

 2013年2月には文化審議会が、国の重要文化財(美術工芸品)に指定するよう文部科学相に答申。同年6月に指定された。

 なお同年5月17日には、文化財指定に先立つ調査や展示会が終わり、同神社に返却されたタイミングに合わせて2時間限定で神像が公開された。今後、一般公開の予定はないといい、この日は「一生に一度のチャンス」と多くの参拝客が訪れた。

山梨日日新聞社 YBS山梨放送
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