1965(昭和40)年2月11日付

1965(昭和40)年2月11日付
『ひどい富士五湖の減水 精進湖は消えそう 地下場水の乱掘が原因『』

 富士五湖の減水がかつてないほどひどい。精進湖では笈ノ峠、中湖などの本湖とはなれているところはこの夏には水がなくなるとみられている。また河口湖では富士吉田市の下吉田上水道の取り入れ口が干上がって、ポンプ揚水をはじめた。富士五湖のこの渇水を調べている船津測候所に対し甲府気象台もデータの提出を求めた。開発ブームに乗り無計画に地下水をくみ上げれば、五湖は干上がるばかりで、早く県が中心になって水資源対策を立てなければ、底の浅い精進湖は消えてしまうかもしれない心配があるという。

 減水の状態がいちばんはっきりしているのは河口湖。船津測候所の久保田謙所長はこの傾向を心配して昨年からいろいろの記録の調査をはじめた。

 その調査によると五湖の減水原因は35年からの降雨量の減少が強く影響しているようだ。同地方の年間降雨量は平均1700ミリだが、35年1349ミリ(80パーセント)36年1487ミリ(88パーセント)37年1296ミリ(77パーセント)38年1231ミリ(73パーセント)39年1144ミリ(64パーセント)という記録。

 このように降雨量が少ないのに河口湖畔では農業用ポンプが8カ所に設けられ、5月中旬から8月下旬までの水稲栽培期間には1時間8000トンの揚水をする。また下吉田上水道のためにも1日8000トンを流している。

 このため昨年から河口湖の減水は加速度的になり、これまでの最高減水の昭和16年5月のマイナス3.20メートルを昨年中に割り、昨年12月にはマイナス3.70メートルになって、8日現在マイナス3.86メートルという最低記録を示し毎日水位が下がっている。ことしの雨量も、1月39.5ミリ(平年50ミリ)2月に3ミリといぜん少ない。このままでは渇水期の5月ごろはマイナス4メートルになるとみられている。

 久保田所長は以上のようなデータを甲府気象台に報告したが、この減水のため下吉田上水道はポンプでの揚水を始めだした。河口湖中に浮かぶウノ島にも5メートルほどの橋をかければ渡れるようになってしまった。

 精進湖の場合は湖が小さく底が浅いためさらに減水は目立っている。笈ノ峠、中湖は3年前に減水して溶岩が出て独立した湖になった。ところがさらに減水しているため4000平方メートルの笈ノ峠とそれより小さい中湖は夏までに消えてしまうとみられている。この傾向は山中湖、西湖、本栖湖でも同じことだが、底が深いために表面にあらわれていない。

 このように減水している五湖だが、この湖にわき出している水については一顧もされていない。降雨量の少ないことも減水の原因には違いない。しかし久保田所長の調査ではかっては河口湖へのわき水量は降雨量の3倍あったが、いまは2倍になっているという。富士北ろく一帯で無計画に掘る井戸が影響していることは間違いないようだ。観光でもうけるために水資源の乱掘は五湖を渇らすことにつながりそうだ。

 このことは富士吉田市内で赤坂井戸、月江寺公園池などわき水が昨年秋から少なくなり止まったことでも証明されそうだ。久保田所長は「目先のことしか考えない開発はたいへんなことになる。対策のたてようもない状態」と心配している。【当時の紙面から】

山梨日日新聞社 YBS山梨放送
当ウェブサイト上の掲載情報、写真等の無断複写・転載を禁止します。