「生まれ変わる」信仰の場所

「生まれ変わる」信仰の場所
 山梨県富士吉田市上吉田の剣丸尾溶岩流の東縁に位置する溶岩樹型「吉田胎内樹型」。937(承平7)年に起きた噴火で形成されたとみられ、富士講信者によって発見された。樹型内部があばら骨や乳房のように見えるため、人体の内部にたとえて「胎内」と呼ばれる。

 1本の横穴型と3本の井型状樹型、小円筒状横穴樹型からなる。横穴型樹型には樹木の木肌がはっきりと残り、天井に溶岩鍾乳石、内側にはたれた溶岩がろっ骨状に広がる。底面には溶岩石筍(じゅん)もある。奥に木花咲耶姫命が祭られている。

 富士山信仰では、胎内に入り、外に出ることで生まれ変わる、とされている。富士講信者には富士登山前にはいったん胎内樹型を訪れ、身を清めてから登山する習わしがある。

 胎内樹型にある吉田胎内神社では、年に一度「胎内祭」が行われる。富士山を信仰の対象とする人々が、富士山噴火などの災害が最小限になることを祈願する神事で明治時代から続く。富士吉田市内にある富士講信者の宿坊「御師の家」当主でつくる北口御師団が主催している。

 神社での神事に続き執り行われる「お焚き上げ」と呼ばれる儀式では、敷いた塩の上に富士山をかたどって線香を供え、富士登山者の安全や御師団の繁栄などを祈る。また胎内樹型内部は普段は閉鎖され非公開となっているが、「胎内祭」当日のみ神事の後に一般公開され、内部の様子を見学できる。

 富士山信仰や胎内樹型を広く知ってもらおうと、近年「胎内祭」はゴールデンウィーク中の4月29日に行われている。



 吉田胎内樹型=[国指定天然記念物/山梨県富士吉田市上吉田/1929年12月17日指定]
富士山NET−吉田胎内樹型
吉田胎内樹型


山梨日日新聞社 YBS山梨放送
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