富士山噴火の沈静化を願う伝統の舞

富士山噴火の沈静化を願う伝統の舞
 世界文化遺産の富士山の構成資産である河口浅間神社(山梨県富士河口湖町河口)に伝わる「河口の稚児の舞」は歴史がある神事芸能。毎年4月25日の例大祭「孫見祭」、7月28日の太々御神楽祭の際に同神社に奉納され、長年その形を変えることなく引き継がれている。

 稚児(舞人)は、「お稚児さん」や「オイチーサン」とも呼ばれ、地元の少女が務める。昔は社家の少女に限られていたが、いまは広く氏子中から選ばれる。舞は富士山信仰を背景に、河口御師が行っていた太々神楽の神子舞の流れをくむとされ、少なくとも江戸時代前半には原形があったとみられる。9世紀の富士山貞観噴火に伴って同神社が創建された際、噴火の沈静化を願ったのが起源とする伝承もある。

 孫見祭には「御幣の舞」「扇の舞」「剣の舞」を、太々御神楽祭にはこれに「八方の舞」「宮めぐりの舞」を加えた5種類の舞を奉納。「下方(したかた)」と呼ばれる男性が舞の音楽を演奏する。

 厳しい忌みごもりがあり、当日午前10時、舞子たちは陣羽織と赤い千早(ちはや)を重ね、頭にはヨーラクと呼ばれるかぶり物をつけた清浄な衣装で神前に進み、まず御幣の舞を舞うと、本殿のトビラが開かれ祭事にはいる。終わると神おろしの笛にしたがい、舞子は立って本殿に拝礼、それぞれ正面に供えてあるとりものをとり「御幣の舞」「扇の舞」は1人ないし数人、「剣の舞」」「八方の舞」は2人ずつが代わるがわる1つの舞を舞い、最後に「宮めぐりの舞」を全員で舞い、日没ごろ、さながら美しい一幅の絵巻ものの幕を閉じる。



 河口の稚児の舞=[山梨県無形民俗文化財/富士河口湖町河口/河口の稚児舞保存会/1960年11月7日指定]

 なお、2013年に国の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選定。2017年3月には国の重要無形民俗文化財に指定。
富士山NET−河口の稚児の舞
河口の稚児の舞


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