ラン科の多年草「幻の花」

ラン科の多年草「幻の花」
 「クマガイソウ」はラン科の多年草。20〜40センチほどの高さで、ピンクの斑点のあるかれんな白い袋状の花、濃い緑色の大きな葉を持つ。水はけの良い山地の日陰で育ち、すべての花が同じ方向を向くのが特徴。その花の形態が、「平家物語」に登場する武将熊谷直実が背負った母衣に似ていることが、名前の由来といわれている。花の寿命は約20日間。生育条件が厳しいため「幻の花」ともいわれ、環境省、山梨県のレッドデータブックで絶滅危惧種に指定されている。

 山梨県内では、富士北麓の西桂町にある倉見山が、全国でも有数のクマガイソウの群生地として知られている。同町によると、故池田正純さんが1970年にクマガイソウ5株を植え、丹誠込めて育ててきた。最盛期には約3万株が群生。数万株もの群生は全国でも珍しく、見ごろとなる5月には県内外から多くの人が訪れた。

 正純さんが亡くなった後は、妻のまささんが管理していたが、盗掘などにより2004年頃から激減。2006年には数千株にまで減少した。町では毎年5月上旬に開いていた「クマガイソウ祭り」を中止、翌年からは一般公開も休止とした。一方で町では、クマガイソウの保全・再生に乗り出した。土壌の改善から始め、2010年度からは、国の緊急雇用創出事業臨時交付金を活用。倉見森林管理組合に整備と管理を委託、周囲の草取りや木の伐採をはじめ、盗掘防止用のフェンスや観賞用の遊歩道を設置した。また、腐葉土と鶏ふんの散布や間引きを行い、株数の増加に向けた取り組みも進めた。

 その結果、2011年には1200株程度の保全の見通しがたったことから、監視員を置いての一般公開を再開した。2012年には、より多くの花が咲くようになったことから、前年の2倍の面積を公開した。保護、整備の成果が出始めている。2018年の一般公開は、4月25日〜5月13日を予定。

 一方、山中湖村の花の都公園では2000年に50株のクマガイソウを植栽。その後約1000株にまで増えたことから、遊歩道を整備して、2004年から毎年5月にクマガイソウ観察ツアーを実施している。現在では約3000株が園内を彩る。
富士山NET−クマガイソウ
クマガイソウ


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