都市へつながる森の恵み

都市へつながる森の恵み

 水源の枯渇を防いだり、河川の流量変動を調節したりして、良質の水を常時供給できるように配備する保安林「水源涵養林(水源林)」。森林の保水機能を活用したもので、地中に水が浸透することで浄化作用も働く。水源確保のほか、土砂崩れの防止、河川の保護にも役立つ。

 山梨県道志村は1897(明治30)年以来、道志川の水を神奈川県横浜市へ飲料水として供給している。横浜市が所有する道志村の水源林は1916(大正5)年、山梨県の所有となっていた村内の恩賜県有林2780ヘクタールを同市が買い取り、水源林として経営を始めた。現在、水源林は2873ヘクタールで村の総面積の約36%を占める。ヒノキ、スギなどの人工林、ブナなどの広葉樹とモミを主とした針葉樹の天然林、沢筋など植林のできない林地からなる。1995(平成7)年に林野庁の「水源の森百選」に認定。

 山伏峠、御正体山、城ケ尾峠などから流れ出す菅指沢、三ケ瀬川、室久保川などが道志川に注ぐ。清流は神奈川県津久井町の鮑子取水せぎで取水され、青山沈殿池を経て、水路や送水管で約40キロ離れた横浜市内の川井、西谷浄水場まで運ばれる。横浜市は1887(明治20)年、日本で初めて近代水道を整備した。当時は相模川から取水したが、安定的な供給のため1897年、支流の道志川に切り替えた。船乗りから「赤道を越えても腐らない水」と称賛されたという。

 村役場前にある「獅子頭共用栓」。近代水道が整備された当時、横浜市内にあった。1982(昭和57)年、市から村に贈られた。約一世紀にわたって横浜市民に豊かな水を供給してきた証でもある。

 2004(平成16)年、道志村と横浜市は両市村の友好・交流に関する協定書と、村を同市民の「ふるさと」とする「横浜市民ふるさと村」に関する覚書を交わした。

山梨日日新聞社 YBS山梨放送
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