【富士山防災 どう備えるか】 火山情報の活用

【富士山防災 どう備えるか】 火山情報の活用


■適切に受け取る力を

 富士山の噴火が迫ったら、いつ、どこに避難すればいいのか−。麓の住民にとって要となるのが「情報」だ。どのような情報があり、どう見れば良いのだろう。

◎変化あればHPに

 気象庁は、富士山を含む47の火山で地震計などの機器を設置し、24時間体制で監視。地震や地殻変動など山に変化が表れたら、ホームページ(HP)に「火山の状況に関する解説情報(火山解説情報)」を出している。

 人が住む地域近くまで影響する規模の噴火が発生する恐れが高まったときには、普段の「噴火予報」から切り替えて住民に警戒を呼び掛ける「火口周辺警報」「噴火警報」を発表。「噴火警戒レベル」を引き上げる。

 噴火警戒レベルは火山活動の状況によって防災機関や住民がとるべき行動を5段階で表した指標。避難準備のタイミングをみる重要な情報だ。最も低いレベル1について気象庁は昨年、表現を「平常」から「活火山であることに留意」に変えた。御嶽山は1で噴火しており、「平常」という表現が「安全」だと誤解を与えるとの問題点が浮上したためだ。

 富士山は現在このレベル1。ほかの火山は危険の高まりに伴ってレベルが1ずつ引き上げられるが、富士山は、どこに火口が開くか予測ができず、火口付近への立ち入りを規制するレベル2が当てはまらない。予兆が確認された時点で3(入山規制)まで、一気に引き上げられることになる。

 レベル3以上になり、周辺住民に「避難準備」「避難」を指示するのは市町村長だ。防災行政無線や報道などによって知ることになるだろう。富士山周辺の自治体は「広域避難計画」を作り、レベルに応じた避難対象エリアや避難先を設定している。HPに掲載しているところもあるので、日頃から自分の住む地域がどのエリアに位置するか把握し、避難行動に備えたい。

 御嶽山では2014年9月10日ごろから直下で地震が発生し、気象庁は27日の噴火までに火山解説情報を11、12、16日の3回出していた。しかし、噴火警戒レベルは1を維持。その後地震の回数が減った上、前回噴火(2007年)でみられた地殻変動などほかの予兆も表れず、2に引き上げる根拠がなかったためだという。

◎混乱するケースも

 富士山は予兆をとらえられるのか。突発的に起こり得る「水蒸気噴火」では難しいが、富士山は「マグマ噴火」が起きる可能性の方が高いとされる。県富士山科学研究所の吉本充宏主任研究員(45)は、マグマが地表近くに上がり始めた時の地震活動や地殻変動によって「事前にある程度のシグナルはつかめるはずだ」という。

 ただ、比較的短い周期で噴火する火山に比べ、富士山は300年以上沈黙を続けており、噴火前どのような兆候を表すのか、くせが分かっていない。その上、マグマが粘り気の少ない玄武岩質。上昇の速度が速く、兆候をつかんでから噴火までに数時間しかないことも想定されるという。

 吉本主任研究員は「地震の発生など気象庁が何らかの観測情報を発信し始めたら、敏感になってほしい」と話す。火山解説情報は必ずしも噴火予知につながる情報だとは限らないが、火山の変化をタイムリーに知る一つのツールにはなる。

 報道機関やSNSからの発信も増えていく。同時に安易な情報も飛び交うようになり、箱根山・大涌谷のように情報の受け手側に混乱が起き、風評被害が広がるケースがある。「受け手には大切な情報だけを選び取って行動できる力が求められる」と吉本主任研究員。そのために、日頃から火山噴火やその対処法について知識を蓄える重要性を訴えている。

山梨日日新聞社 YBS山梨放送
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