北斎の浮世絵を手で触って鑑賞できる触察本

北斎の浮世絵を手で触って鑑賞できる触察本
 視覚障害者が、富士山を描いた江戸時代後期の浮世絵師、葛飾北斎の浮世絵を手で触って鑑賞できる触察本「手で見る北斎『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』」。2012年にNPO法人視覚障害者芸術活動推進委員会(東京)が考案、刊行。目の不自由な人は理解が難しいとされる平面作品を凹凸で表現し、部分ごとに分析することで、全体像を把握できるようになっている。

 鑑賞する作品は北斎の代表作で、海外でも「ビッグ・ウエーブ」として知られる「神奈川沖浪裏」。砕け散る大波に3隻の小舟が揺られ、絵のほぼ中央に富士山が描かれている。絵の輪郭に凹凸を施したほか、大波、小舟、富士山の形と位置関係など、順を追って細かく分析。特に小舟は波に隠れた部分を復元。上から見た形を表示して理解を深めている。

 また海外で「ジャパンブルー」と評される波の色の濃淡を凹凸で表現。日本地図を示して「木更津から江戸へ生鮮魚を運んだ」小舟の航路とともに、北斎が富士山を見たと推測される場所も紹介している。

 制作は、触察本に詳しいイタリアやフランスの専門家の協力を得て、約2年を費やした。絵画のほか、点字による解説文を収載。解説文を読み上げた音声ガイド(CD)の付録もある。

 富士山世界文化遺産登録推進両県合同会議(当時)が同書を、視覚障害者にも富士山の素晴らしさを知ってもらう一つの方法として着目。購入し、富士吉田市や富士河口湖町など地元の市町村のほか、県立博物館などに配布した。

山梨日日新聞社 YBS山梨放送
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