富士山噴火訓練巡り対立
県は「図上」、地元市町村は「実動」
住民、連携を不安視

更新日:2018年05月15日(火)

 富士山噴火を想定した広域避難訓練について、山梨県と地元市町村が話し合う協議会が14日、富士吉田市内で開かれた。県が地図や資料などを基に図上で訓練することを提案したのに対し、住民が実際に避難する実動訓練を求めていた地元市町村が猛反発。両者は折り合わず、本年度の訓練は地元市町村だけで行うことになった。訓練手法を巡る県と地元市町村の“対立”に、住民からは「災害時に緊密な連携が取れるのか」と不安視する声が上がっている。

 富士山噴火を想定した広域避難訓練は、2016年夏に富士吉田市が単独で実施。17年は富士北麓の6市町村に規模を拡大した。本年度はより実践的な訓練ができるよう県に参加を求め、県主導で行うことを要請していた。

 14日、富士吉田市役所で開かれた火山防災に関する協議会で、県は「過去2年間に実施した避難訓練で明らかになった課題を検証するには図上での訓練が有効」などとし、図上で訓練することを提案。担当者は「図上訓練終了後、避難計画の見直しや実動訓練につなげたい」と理解を求めた。

 これに対し、実動訓練を求めていた地元からは反発する声が上がった。富士吉田市の堀内茂市長は「地元住民は噴火への危機感を持っている。実動訓練をするべきだ」と主張。県が図上訓練を提案したことについては「山の向こうの安全な場所でのんきに構えていると言わざるを得ない」と痛烈に批判した。

 山中湖村の高村文教村長も「住民は噴火災害など命に関わることにナーバスになっている。実践的な訓練を通して見つかった問題点を検証するべきだ」と続けた。

 両者の主張は平行線のままで、最終的には本年度の訓練も富士北麓の6市町村だけで行うことを決定。富士吉田市によると、訓練は富士山が積雪している11月下旬に行い、高齢者や入院患者ら災害弱者の避難誘導の手順を確認することを予定している。

 協議会終了後、県防災局の小沢祐樹次長は「課題を検証、解決するために図上訓練が有効と考えて提案した」と説明。地元市町村は単独での訓練実施を決めたが、「どのような形で県が関わることができるのか検討したい」と述べた。

 富士山が噴火警戒レベル3(入山規制)になった場合、県の富士吉田合同庁舎に現地連絡調整室が置かれ、県は国と連動しながら地元市町村に情報を伝達。市町村は情報を基に避難指示を出すかなどを判断する。

 富士吉田市内の自治会の自主防災会に所属する男性(63)は「住民が安全に避難できる方法を考えることが大切で、県と市町村が衝突することに不安を感じる。連携をしっかり取ってほしい」などと話した。

富士山噴火を想定した広域避難訓練について、山梨県と地元市町村が話し合った協議会=富士吉田市役所
富士山噴火を想定した広域避難訓練について、山梨県と地元市町村が話し合った協議会=富士吉田市役所
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