2019.3.20

富士山想定火口域が拡大 危険予測図改定へ 溶岩噴出2倍に

改定後の想定火口範囲

 富士山噴火の被害を想定したハザードマップ(危険予測地図)の改定作業を進めている富士山火山防災対策協議会の検討委員会(委員長・藤井敏嗣山梨県富士山科学研究所所長)は19日、マップの前提となる「想定火口範囲」を広げる中間報告をまとめた。想定火口に「雁ノ穴火口」(富士吉田市)や「北天神火砕丘火口」(鳴沢村)などを加えた。溶岩流の流出シミュレーションで使う最大噴出量は現在の約2倍に当たる13億立方メートルに見直した。想定火口範囲の拡大により、溶岩流の影響範囲は広がる可能性が高く、自治体の避難計画も見直しが必要になりそうだ。
 山梨、静岡、神奈川の3県などでつくる同協議会で示された中間報告によると、現行マップ作成後に見つかった想定火口には両火口を含む山梨、静岡両県の4カ所と、5600~3500年前に噴火した静岡県内の3カ所を追加した。検討委はこの7カ所は「噴火の影響が大きい火口」とした。このほかに5600年前以降で小規模な噴火があった火口も加える方針。
 検討委は現行マップと同じく、山頂から各火口までを結んだ線を「潜在的な割れ目火口」と位置付け、その周囲1キロを想定火口範囲とした。雁ノ穴火口は富士吉田市の市街地に近く、東富士五湖道路周辺まで火口範囲になるなど「範囲は現行マップより広がる」(検討委)。各火口は過去の噴火を参考に大規模(流出溶岩流・2億立方メートル以上)、中規模(同2000万立方メートル以上2億立方メートル未満)、小規模(同2000万立方メートル未満)に分類した。
 2007年に発表された青木ケ原エリアのボーリング調査の結果を基に、貞観噴火(864年)の溶岩流の噴出量が最大で13億立方メートルに見直されたことに伴い、改定版は一つの火口からの最大噴出量を現行の7億立方メートルから13億立方メートルに見直す。藤井委員長によると、昨年5~9月に噴火した米・ハワイのキラウエア火山の噴出量に並ぶという。
 溶岩の流れ方をシミュレーションする際の地形データは、現行の「200メートル四方」から「20メートル四方」に変更。谷や尾根など細かい地形を表現することで従来より溶岩の流れを詳細に想定できるという。改定版に反映する噴火年代は現行の「3200年前」から、1万年前以降で噴火活動が活発だった「5600年前」までさかのぼることにした。
 検討委は4月以降、溶岩の流れのシミュレーションを行い、来年度末の改定版公表を目指す。藤井委員長は「ハザードマップは次の噴火を想定してつくるものではない」とした上で、「溶岩がどのように流れるかは理解してほしい。公表に向けて検討を進めたい」と話した。
 山梨県の長崎幸太郎知事は協議会後、「山梨側の新たな噴火口を前提に、(マップの)詳細な姿が明らかになる。必要となる対策を講じたい」と述べた。

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