2019.4.18

5合目滞在、平均3時間弱 富士山吉田口の登山者 法人調査「高山病防ぐ結果に」

 一般社団法人「富士山チャレンジプラットフォーム」(田中義朗代表理事、東京)が昨年夏に実施した富士山登山者の動態調査で、吉田口登山道でシャトルバスを利用した登山者が5合目に滞在した時間の平均は2時間49分で、静岡県側の二つの登山道を上回ったことが分かった。観光施設が多いため長時間滞在につながったとみられる。同法人は「高度順応の効果が見込め、山梨側からの登山者の事故抑止や高山病予防の一因になる」と指摘している。
 実験をした一般社団法人は、建設コンサルタントの日本工営(東京)や測量業の中日本航空(愛知)など8社で構成。2014年の御嶽山(長野、岐阜県)の噴火を契機に、情報通信機器を活用した登山者の安全確保を目指し、15年夏に富士山で実験を始めた。
 18年夏は総務省事業に採択され、大規模に実施。昨年8月18~27日に吉田口、須走口、御殿場口、富士宮口の各ルートの麓の駐車場や5合目で、登山者にビーコン(発信器)を配り、計1万4672人が協力した。4ルートの山小屋や観光施設など約50カ所にレシーバーを配置。登山者が近づくとビーコンの信号をキャッチし、各区間で登山者の位置を把握した。
 5合目の滞在時間は、吉田口と富士宮口、須走口の3ルートを対象に、麓の駐車場でビーコンを受け取り、シャトルバスに乗った計約6千人を比較した。吉田口は3時間以上が41%、1時間以上~3時間未満が43%、1時間未満が16%。1時間以上の滞在が8割を超えた。平均滞在時間は2時間49分だった。
 富士宮口の5合目滞在時間は3時間以上が27%、1時間以上~3時間未満が39%、1時間未満が34%。須走口は1時間以内が67%、3時間以上が33%。平均滞在時間は富士宮口が2時間5分、須走口が1時間18分で、吉田口を下回った。
 期間中はビーコンを持った登山者の位置を把握する実験も行った。実施時間帯にビーコンを所持していた登山者約3千人について、約2時間でほぼ全員の位置が分かった。担当者は「噴火が起きた際に円滑な避難指示につなげられる」としている。
 17、18年の夏山期間中は、可搬型のレーザー計測装置を使い、登山道周辺の地形を数センチの誤差で3次元化。落石や岩盤崩落の危険がある場所の把握も進めた。
 実証実験に協力した県富士山科学研究所の吉本充宏主任研究員は「富士山の登山者の動向や地形をデータとして把握できた意味合いは大きい。客観的な事実を起点とすることで、効果的な登山者の安全対策につなげられる」と指摘している。

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