2019.5.22

世界遺産委、富士山保全報告承認へ 登山者抑制、イコモス評価 

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)は21日、世界文化遺産・富士山の保全状況に関し山梨県などが提出した報告書について、「保全と管理の義務を果たし続けている」と評価する審議資料を公表した。登山道の混雑回避へ向けて1日当たりの人数の目安を示した来訪者管理を大筋で評価した格好。6月30日からアゼルバイジャンで開催される世界遺産委員会で報告書を審査し、正式に承認する見通しだ。
 報告書は山梨、静岡両県が国と協力して作成し、政府が昨年11月26日にユネスコに提出していた。ユネスコが求めた登山者対策として、来訪者管理につながる「望ましい登山者数の水準」を吉田口登山道で1日当たり4千人と設定。4千人を超える日数を3日以下とする目標を盛り込んでいる。
 県世界遺産富士山課によると、今回公表された審議資料では、登録時に世界遺産委員会から勧告を受けた6項目について「進展していることを歓迎する」と指摘している。具体的には来訪者管理や巡礼路の調査・研究が登山の混雑緩和や富士山が持つ文化的側面への理解に役立つとする趣旨の内容が記載されている。
 また、富士山の自然や歴史、文化、周辺観光などの情報を来訪者らに提供するために、山梨、静岡両県にそれぞれ開設された富士山世界遺産センターについては「研究や教育活動にも大きな役割を果たしている」と評価している。
 一方で、富士山の山麓周辺の開発管理について、より詳細な内容とスケジュールを報告するよう要請した。合わせて2020年12月までに最新の動向を記した保全状況報告書を改めて提出するよう求めている。
 富士山は13年に世界文化遺産に登録された。世界遺産委員会は観光や開発で信仰の山としての神聖さが損なわれることを懸念し、通常6年ごとの保全審査を3年前倒ししていた。今回の報告書の提出は16年に続く2回目。16年時の報告書を審査した世界遺産委員会は今回の報告書で来訪者管理に加え、情報発信、景観改善などの取り組みの進捗を示すよう求めていた。
 長崎幸太郎知事は21日、「報告書の保全の方向性がおおむね理解されたものと判断している。今後は国、静岡県、地元関係者らと連携して適切に対応していく」とコメントした。
 諮問機関の意見は、ユネスコのホームページで日本時間の21日午前3時半ごろに公表された。

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