2019.5.28

宝永山、正体は火山灰 富士山研グループ調査 数日~十数日間で形成

 富士山の南東斜面にある側火山の宝永山は、1707年の宝永噴火で噴出した火山灰などが積もって最短数日間でできた山だったことが27日、山梨県富士山科学研究所などの研究グループの発表で分かった。研究結果によって噴火時に山ごと崩れる「山体崩壊」の危険エリアとされてきた宝永山の危険性は下がった一方、同研究所は「どこで崩壊が起こるかを予測するのは一層困難になった」と指摘。富士山の噴火対応に新たな課題が突きつけられた格好だ。
 研究結果では、富士山は1707年12月16日に宝永火口から噴火し、火山灰や火山弾などが火口周辺に堆積。噴火が終わる30日までの数日~十数日間に、宝永山が形成されたとみている。
 研究グループは宝永山の岩石を採取。岩に含まれる鉄分に記録された地磁気の方向から年代を解析する手法や、岩石の成分を分析する方法で、宝永山の岩石は宝永噴火の噴出物と推定した。噴火時の噴出物が火口の周囲に積もって形成された山は「火砕丘」と呼ばれ、富士山の側火山では大室山(富士河口湖町)が該当する。
 従来、宝永山は噴火時に地中の溶岩が斜面を突き上げてできた、と考えられていた。次の噴火時には再び溶岩が宝永山を突き上げ、山体崩壊が起きる可能性が指摘されていた。ただ、研究で成り立ちが分かったことでこうした可能性が否定され、研究に携わった同研究所の吉本充宏主幹研究員は「逆に山体崩壊の恐れがあるエリアが広がり、事前予測が難しくなった」と指摘した。富士山火山防災対策協議会の検討委員会が改定作業を進めているハザードマップの検討項目になる見込みだ。
 研究グループは同日、千葉県内で研究者らが集まって開かれた大会で研究結果を報告した。

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