2019.7.04

海洋汚染の現状紹介 富士山遺産センター所長が2書籍 マグロ養殖の論文収載

「海に興味を持ってほしい」と話す秋道智弥さん=甲府市内

 県立富士山世界遺産センター所長で総合地球環境学研究所名誉教授(生態人類学)の秋道智弥さん(73)が編著した、海と人類の関係をテーマにした2冊の書籍が刊行された。マグロ養殖の現状やプラスチックごみによる海洋汚染についてつづった専門家の論文などを収載している。秋道さんは「海に興味を持つきっかけになれば」と話している。
 書籍は「海とヒトの関係学」シリーズで「日本人が魚を食べ続けるために」と「海の生物多様性を守るために」。いずれも西日本出版社刊で、1728円。
 笹川平和財団海洋政策研究所(東京)のニュースレターに掲載した論文を収載。同研究所特別研究員の秋道さんが編集代表を務めていた2004~16年に掲載された、大学教授や水産業関係者らの論文を加筆修正した。
 「日本人が魚を食べ続けるために」には、漁獲量の増減や人手不足など水産業を取り巻く現状、気候変動に伴う海洋環境の変化などをまとめた論文やコラム計22本を収めている。
 このうち、マグロ漁業についてまとめた論文では、日本のマグロ消費量の推移や養殖の歴史のほか、国際管理機関の漁獲規制が行われる中、近畿大でクロマグロの完全養殖が実現した意義などがつづられている。
 大日本水産会が小学生を対象に開いている「おさかな学習会」、魚の魅力を伝える「おさかなマイスター」の活動を紹介したコラムなども取り上げている。
 「海の生物多様性を守るために」には18本の論文などを掲載。プラスチックごみによる海洋汚染について、影響が深海にまで及んでいることを解説している。5ミリ以下になったマイクロプラスチックは生物が飲み込む可能性が高いといい、秋道さんは「生態系を通じて、人間は自分たちが捨てたごみを食べることになる」と話している。
 このほか、生物多様性と漁業の関係、外来生物が従来の生態系に与える影響や活用法などを考える論文もある。
 秋道さんは「海と人間には長いつきあいの歴史があり、海の危機は地球の危機でもある。海の危機について、広い視点で考えるきっかけになればいい」と話している。シリーズは今後も刊行する予定という。

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