2019.7.30

富士登山鉄道検討会スタート 採算、安全性に懸念続出 来年末ごろに基本構想

富士山鉄道の実現可能性を検討する「富士山登山鉄道構想検討会」であいさつする長崎幸太郎知事=東京・都道府県会館

 山梨県は29日、富士山の麓と5合目をつなぐ「富士山登山鉄道」の建設可否を検討する有識者らの「富士山登山鉄道構想検討会」(会長・御手洗冨士夫日本経済団体連合会名誉会長)を設置し、東京都内で第1回理事会を開いた。理事からは「利益を生む流れが大事」「安全性が最優先」など、採算性や安全性の確保を憂慮する意見が相次いだ。鉄道の事業主体やルート案を盛り込んだ基本構想を2020年12月ごろにまとめることで一致した。
 理事会には13人が出席。出席者から安全性や採算性を懸念する意見が上がり、小西美術工芸社のデービッド・アトキンソン社長は「危惧するのは経済波及効果が大きいのに富士山に1円も回ってこないことだ。世界遺産が食いつぶされるだけで、それは最悪のシナリオだ」と指摘した。
 JR東日本の喜勢陽一常務は「急勾配で自然環境が厳しく、災害が予想される中での検討。安全の問題を最優先に位置付けてほしい」と訴えた。理事長に選任された山東昭子参院議員は「わくわくするような気持ちだが、課題は多々ある。慎重にかつスピーディーに進めていきたい」とあいさつした。
 富士山登山鉄道の検討は長崎幸太郎知事の公約。長崎知事は終了後、報道陣に登山鉄道について「(排ガスによる)大気汚染への影響緩和、入山者数のコントロール、夏場しか登れない状況の平準化への効果に期待できる」と指摘。「一番重要なのは安全性だが、世界遺産の保全に向け、(鉄道構想を)価値のあるプロジェクトにしていきたい」と述べた。
 検討会は本年度3回を予定。次回は10月で現地視察する。来年1月に地元企業の委員を含めた総会で検討状況を共有し、同3月に中間報告をとりまとめる。来年度も3回の理事会を経て、同12月ごろに基本構想を公表する。基本構想には富士山登山鉄道の実現可能性がある場合のルート案や適切な交通システム、事業主体の在り方を盛り込む。

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