深夜に落石、山小屋直撃 富士山
異例の続発、3施設損壊
富士山7~8合目の三つの山小屋で、10日、屋根や柵などが壊れているのを関係者が見つけた。9日深夜、山小屋関係者らが大きな衝撃音を聞いており、県は落石がぶつかったとみている。当時、山小屋には登山者ら30人以上が滞在していたが、けが人はなかった。富士山では8月下旬、頂上付近で落石が直撃した女性が死亡する事故が起きており、落石被害が相次いで発生するのは異例。
県道路管理課や県世界遺産富士山課によると、被害に遭ったのは8合目の太子館と7合目の富士一館、鎌岩館。県が登山道の管理業務を委託するパトロール員が9日深夜、8合目の元祖室に宿泊中、衝撃音に気付き、5合目の総合管理センターに通報。県や富士山吉田口旅館組合が10日に調べて、被害を確認した。
太子館では建物西側の屋根の一部が損壊し、転落などを防止するための鉄の柵が折れた。9日午後11時すぎ、関係者が大きな音を聞いており、関係者は「大きな衝撃音で起きた宿泊者もいた。30人ほどが滞在していたが、けが人がなくてよかった」と話した。
鎌岩館では倉庫の屋根が変形したほか、雪を防ぐための板に穴が開いた。富士一館でも屋根の一部が壊れたという。同組合の中村修組合長は「山小屋に落石が直撃したことはあまり聞いたことがない。登山者には落石の危険性を周知し、県に対しても安全対策を講じてもらえるよう働き掛けたい」と話した。
県などは10日、同センターで、登山者に落石事故の発生を伝えた。富士吉田市はホームページやツイッターなどでヘルメットの着用などを呼び掛けた。
富士山では8月26日午前5時10分ごろ、吉田口登山道の頂上付近で落石が女性にぶつかり、死亡する事故が起きている。
富士山は10日、夏山シーズンが終わり、「山じまい」となった。渋滞の緩和や環境保護などを目的に実施している富士山有料道路(富士スバルライン)のマイカー規制も同日、終了した。
(2019年9月11日付 山梨日日新聞掲載)