2019.10.10

落石の沢に導流堤整備

県方針、富士山の山小屋防護

新たに導流堤を整備する候補地 富士山で落石が起きて7~8合目の山小屋の屋根などが損傷した問題で、山梨県は7日に、落石が発生したとみられる吉田大沢に、上方から落ちてきた岩や石の軌道を変える導流堤を新たに整備する方針を固めた。山小屋や登山者の安全対策につなげる目的。県は今後、設計に着手して、来年の夏山シーズンの終了後から整備作業に入る方針だ。

 県道路管理課によると、落石発生後の調査で、山頂付近で崩れた岩が登山道西側の吉田大沢を下った可能性があることを把握。落石が吉田大沢内の標高約3200メートル付近の岩に衝突して、跳ね上がるなどして軌道を変え、8合目の太子館や7合目の鎌岩館などにぶつかり、屋根などを損傷させたとみている。

 落石事故を受けて、県は吉田大沢に新たな導流堤を整備し、同様の落石が発生しても山小屋や登山者に被害が及ばないように対応する。整備する場所は落石が軌道を変えた標高約3200メートルにある岩の上方を想定している。

 県は早急に設計を行い、来年の夏山シーズン終了後に整備する方向で、整備には複数年掛かる見通し。また、落石がぶつかり跳ね上がった岩については、来年の開山前までに破砕するなどの対応を取る。

 県は1990年から登山道の落石対策として導流堤の整備を進め、吉田大沢などで22カ所に設置している。導流堤の新たな整備は7日に開かれた2020年度の予算に反映する主要施策・事業の協議で、方針が固まった。

 落石は9月9日夜に発生。けが人はなかったが、7~8合目の三つの山小屋で屋根や柵などが壊れる被害があった。富士山では8月26日に山頂付近で女性が落石にぶつかり、死亡する事故が発生している。

(2019年10月8日付 山梨日日新聞掲載)

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