2019.10.28

富士入山料見直し協議

専門委会合「受益者負担」の考え導入

 富士登山者から集める富士山保全協力金(入山料)制度の見直しに向けた専門委員会(委員長・安田喜憲静岡県補佐官)の会合が25日、東京・都道府県会館で開かれ、現在は任意としている入山料を、強制徴収に切り替える可否について意見を交わした。強制徴収へ切り替える可能性を念頭に、制度の理念に「受益者負担」の考え方を取り入れることで大筋合意した。

 専門委員会は山梨、静岡両県の関係者らでつくる富士山世界文化遺産協議会作業部会が設置し、この日は委員10人が出席。事務局を務める山梨県世界遺産富士山課の担当者が、専門委の一部メンバーによる本年度の会議で、全ての来訪者に公平な負担を求める意見が出たことを報告。課題として制度に理解を得ることや対象者の捕捉、金額設定を挙げた。

 任意徴収の現行制度が、理念を「富士山の普遍的価値を後世に継承する意識の醸成」としていることを踏まえ、考え方を変えるかについて協議。強制徴収の可能性を念頭に、入山料に「受益者負担」の概念を取り入れる方向性を確認した。

 委員の一人は会合で、5合目の観光客も含めて強制徴収することについて「使い道への理解が広がらないと実施は難しい」と指摘。「環境や安全対策の計画をしっかり立てた上で、新しい制度にするべきか考えていく必要がある」と指摘した。

(2019年10月26日付 山梨日日新聞掲載)

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