2020.1.27

胎内巡りを疑似体験

遺産センター、富士山信仰資料を紹介

富士山の溶岩洞穴に関わる信仰について紹介している企画展=富士河口湖・県立富士山世界遺産センター

富士山の溶岩洞穴に関わる信仰について紹介している企画展=富士河口湖・県立富士山世界遺産センター

 富士河口湖町船津の県立富士山世界遺産センターは、富士山周辺の溶岩洞穴にまつわる信仰について紹介する企画展「溶岩洞穴をめぐる信仰」を開いている。船津胎内、精進穴(いずれも富士河口湖町)に関する資料を中心に25点を展示している。

 富士山麓には噴火で噴出した溶岩でできた洞穴が点在。内部があばら骨や乳房のように見えるため、人体の内部にたとえて「胎内」と呼ばれる。富士山信仰では胎内に入り外に出ることで生まれ変わるとされ、溶岩からしたたる水を受けた紙などがお守りとされた。

 富士講信者は富士登山の前に胎内を訪れ身を清めたとされているが、企画展では富士登山の前後、途中などさまざまな機会に参詣したことを記した道中記を紹介している。

 また、富士講中興の祖・食行身禄の著作「一字不説之巻」(1729年)を展示。富士山の神「浅間大菩薩」の父母が誕生した胎内の場所を記しており、記述に基づき船津胎内を発見した身禄の弟子・高田藤四郎の立像も置いている。

胎内に見立てた木製の箱に入る体験コーナー=富士河口湖・県立富士山世界遺産センター

胎内に見立てた木製の箱に入る体験コーナー=富士河口湖・県立富士山世界遺産センター

 膝にわらじを着けた人たちがろうそくをともした燭台を手に持ち、船津胎内をはいながら進む姿を描いた浮世絵師・五雲亭(歌川)貞秀の「冨士山體内巡之図」(1858年)からは、当時の様子を知ることができる。

 精進穴での断食行の後に入定した行者誓行徳山の座像を展示。精進穴で修行した人たちや地元住民の協力で建立された徳山の供養塔に刻まれた文言も掲示している。

 胎内から出た人が飲む煎薬を作るために使った釜を置いているほか、入館者が膝にわらじを着け、胎内に見立てた木製の箱に入る体験ができるコーナーも設けている。

 企画展は2月24日まで。1月28日は休館。午前9時~午後4時。入館無料。

(2020年1月25日付 山梨日日新聞掲載)

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