2020.1.29

書き入れ時、不安強まる

新型肺炎、中国客団体旅行ストップ 富士北麓「観光に打撃」

 新型コロナウイルスによる肺炎拡大で、中国が海外への団体旅行を27日から禁止する措置を取ったことについて、春節(旧正月)時期の中国人観光客による消費を期待していた富士北麓地域の観光施設からは26日、不安や落胆の声が相次いだ。この日も観光地は大勢の中国人客でにぎわっていたが、一部の施設で団体客のキャンセルが出るなどの影響も。春節時期は書き入れ時だけに、関係者は「売り上げへの影響は計り知れない」と懸念を訴えた。

 「この時期は売り上げのほとんどが中国人観光客によるもの。団体客が来なくなれば、影響が出るのは間違いない」。忍野村忍草の忍野八海近くで土産店などを経営する男性は26日、不安を口にした。

 24日に春節に伴う大型連休が始まり、忍野八海周辺はこの日も記念撮影したり、土産物を買い求めたりする中国人客で混雑。村観光案内所によると、春節時期は通常の3倍以上の観光客が訪れ、大半が中国人の団体客という。事務所の担当者は「27日以降に団体客が来なくなれば、村内の観光は打撃を受ける」と指摘する。

 富士河口湖町河口の観光施設「河口湖音楽と森の美術館」は、中国が海外への団体旅行を禁止する措置を取ったことを受け、2月上旬に予定されていた中国人団体客の予約3件がキャンセルになったという。

 堀内正一副支配人は「近年は中国以外の観光客が伸びており、売り上げへの影響は限定的」と受け止めているが、「事態が深刻化し、個人旅行まで禁止されないことを願っている」と語った。

 富士山と河口湖が一望できる人気スポットとして知られる富士河口湖町大石の「河口湖自然生活館」は、春節時期は中国人の来館者が全体の9割近くを占める。大型バスを利用して訪れる団体客が多いといい、担当者は「少なからず売り上げが減るだろう。一日も早く事態が収束してほしい」と漏らした。

 富士山有料道路(富士スバルライン)料金所近くの県立富士山世界遺産センターも、来館者の半数近くがバスを利用した団体客。担当者は「予約のキャンセルは確認されていないが、今後どのように影響が広がるか分からない」と懸念を示した。

 富士吉田市の富士急ハイランド内には通年営業の免税店「富士山商店」があり、昨年の春節時期は中国人観光客で盛況だったという。広報担当者は「27日以降になってみないと、どれほどの影響が出るか分からない」と話した。

(2020年1月27日付 山梨日日新聞掲載)

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