2020.2.01

織り機守る技、伝える

富士吉田、ベテラン職人修理実演

企画展で展示する織り機を準備する渡辺徳重さん(奥)ら=富士吉田市富士見1丁目

企画展で展示する織り機を準備する渡辺徳重さん(奥)ら=富士吉田市富士見1丁目

 郡内織物の織り機を修理する職人にスポットを当てた企画展「織り機に集う」(富士吉田織物協同組合主催)が2月7日から、富士吉田市富士見1丁目の複合施設「FUJIHIMURO」で開かれる。織物産業の落ち込みなどに伴い職人の数が減少し、技術の伝承が課題となっていることから企画。織り機を展示し、ベテラン職人が修理を実演する。

 織り機を修理する職人は現在、富士吉田市に2人いる。そのうちの1人、渡辺徳重さん(73)は高校を卒業後すぐに盛んだった織物産業に関わる仕事をしようと職人になった。

 1960年代、高品質な郡内織物は全国で人気を博し、織り機がガチャンと動けば1万円になることを例えて「ガチャ万」と呼ばれた。かつては多くの職人がいて、渡辺さんも「部品をすべて取り外す大規模な修理を1カ月に20台請け負ったこともあった」と振り返る。

 国内の織物産業が安い海外製品などに押されて低迷するのに伴い仕事量は減少。現在は部品の不具合をチェックするなどの依頼は定期的にあるものの、大規模修理は年に2、3台にとどまるという。

 織り機にはさまざまな種類があり、組み立てや調整には豊富な知識が必要。重い部品を扱う重労働でもあり、仕事として敬遠される理由になっているという。

 展示は職人の仕事について知ってもらう機会にしようと、FUJIHIMUROのスタッフである藤枝大裕さん(35)らが中心となり企画。廃業した市内の織物業者から織り機を借りて展示する。渡辺さんが部品を取り外したり織り機を組み立てたりする様子を見学できる。

 藤枝さんは「一般の人が織り機や部品を見る機会はほとんどないはず。仕事を知ってもらい、興味を持つ人がいればうれしい」と話す。織物業者が修理について学ぶ機会にもしたいと考えている。

 このほか、糸を巻く際に使う機械なども展示。壊れた部品や劣化したゴムなどを額装して並べることを計画しているほか、若手職人の活動も写真や動画で紹介する。

 織り機の運搬や洗浄などの費用に充てるため、クラウドファンディングで資金を募っている。3月末までに100万円を集める計画という。

 企画展は2月7日から3月29日まで。金~月曜の午前11時~午後4時。問い合わせはふじよしだ定住促進センター、電話0555(73)9438。

(2020年1月30日付 山梨日日新聞掲載)

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