2020.2.09

霊峰に鉄道、環境巡り賛否

排ガス出ない良案/開発新たな負荷に 地元関係者「丁寧な説明を」

登山鉄道構想の検討が進む富士山。手前は富士山有料道路(富士スバルライン)=山日YBSヘリ「ニュースカイ」(NEWSKY)から空撮(2016年6月撮影)

登山鉄道構想の検討が進む富士山。手前は富士山有料道路(富士スバルライン)=山日YBSヘリ「ニュースカイ」(NEWSKY)から(2016年6月撮影)

 山梨県が設置した「富士山登山鉄道構想検討会」が、富士山有料道路(富士スバルライン)上への「次世代型路面電車(LRT)敷設が最も優位性が高い」とする骨子をまとめた6日、富士北麓地域の地元関係者からは「環境負荷の軽減につながる」と歓迎の声が上がる一方で、「電気自動車を走らせる方法もある。開発行為が環境破壊につながる」と否定的な意見も聞かれ、賛否が割れた。LRTが「新たな観光資源になる」として建設推進を求める声もあった。

 「富士山の自然を守り、しっかりと後世に残していくためには、環境負荷を軽減していくことが求められる。LRTであれば排ガスも出ないため、良い案ではないか」。富士吉田市内で特産品などを販売する業者の担当者は、スバルライン上へのLRT敷設に期待を示した。

 一方で、地元からは「鉄道敷設そのものが環境破壊につながる」と懸念する声も。富士山7合目で山小屋を営む富士山吉田口旅館組合の中村修組合長は「環境を守るために環境を壊すことがあってはならない」と指摘。自動車メーカーが電気自動車開発に取り組んでいることも踏まえ、「富士スバルラインを走る車を電気自動車に限定すれば、LRTは必要ないのではないか。未来を見据えて慎重に議論してほしい」と訴えた。

 LRT整備による排ガス削減効果が現時点では不明として、態度を保留する人も。富士山で登山ガイドを務める30代男性は「LRTを導入することで、現在のマイカー規制と比べてどれほど二酸化炭素の排出量が減るのか知りたい。判断材料となる客観的なデータを示してほしい」と訴えた。

 富士河口湖町観光連盟の山下茂代表理事は「富士北麓地域の観光面を活性化させるという点で建設には賛成だ」とした上で、「富士北麓の地元市町村長や住民はもちろん、静岡県に対する丁寧な説明を重ねた上で、計画を進めてほしい」と注文を付けた。

 5年前に富士スバルライン上に鉄道を敷くべきとする報告書をまとめた富士五湖観光連盟(堀内光一郎会長)の担当者は「地元への説明がこれから始まる。協議の推移を見守りたい」と話した。

(2020年2月7日付 山梨日日新聞掲載)

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