2020.2.09

富士山登山鉄道構想骨子の要旨

 【富士山登山鉄道の必要性・有効性】
 富士山5合目の来訪者の平準化や、温室効果ガスなどを排出しないクリーンなエネルギーを利用した交通システムの導入、5合目の景観、環境改善による観光地の高付加価値化などを論点に、富士山登山鉄道の有効性について議論した。
 交通インフラの整備に合わせたライフライン(電気、上下水道)の整備や御中道、旧登山道などを活用した体験機会の充実、山を登る過程を楽しむ乗り物であること、バリアフリーや外国人来訪者への配慮なども検討材料とした。留意点としては、新たな森林伐採や土地改変などを極力抑制すること、新たな構造物の設置を最小限にとどめ、整備する場合にも景観と調和したデザインを用いるなど景観配慮を前提とした。

 【富士山の現状】
 インバウンドを中心に来訪者は増加基調で、来訪者は特定の季節や曜日に集中している。大型バスの増加により二酸化炭素などの排出量が増大している。
 混雑期にはトイレの機能低下、水や燃料の運搬、自家発電による負荷の増大などが懸念される。5合目施設の意匠改善がイコモスから求められている。

 【導入ルート・システムの比較・評価】
 技術的には冬季の安全・安定運行、緊急車両や保守管理車両の通行が可能であることに加え、バッテリーや燃料電池など先進技術の積極的な導入を検討。利用者などの適正な負担と富士山保全などへ還元する仕組みを検討した。
 ルートは、富士山有料道路(富士スバルライン)を全線利用するルート、スラッシュ雪崩多発区域を回避するルートの2種類を検討した。交通システムは、Aルートが普通鉄道、ラックレール式鉄道、次世代型路面電車(LRT)、Bルートがケーブルカー、ロープウエーを比較、評価した。
 Aルートの交通システムはいずれも法制度への適合性が高く、比較的、氷雪に強い。普通鉄道とラックレール式鉄道は緊急車両の通行やバリアフリー性に課題がある。LRTは下り勾配で速度制限を受けるものの、緊急車両との併用が可能でバリアフリー性も優れる。
 Bルートの2種類の交通システムは、いずれも法制度への適合性や、景観への影響、緊急時対応、遊歩道の活用、バリアフリーの面で課題がある。
 以上から、LRTを富士スバルライン上に敷設することが最も優位性が高いと評価した。
 防災対策については鉄道敷設の有無にかかわらず、道路利用者の安全確保を図ることが現時点でも重要なことから、別途対応を検討する。

(2020年2月7日付 山梨日日新聞掲載)

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