2020.2.10

「客来ない」ホテル悲鳴

新型肺炎、富士山観光に打撃 経営者「終息待つしか…」

 新型コロナウイルスによる肺炎患者の拡大が、山梨県内の観光に大きな打撃を与えている。富士河口湖町のホテルでは、中国政府が海外への団体旅行を禁止したことを機に個人客にも影響がおよび、3千人以上が宿泊予約をキャンセル。損失は2千万円に上るという。中国以外の国からのキャンセルも出ているといい、経営者は「経営への影響は計り知れない。ウイルスが消滅するのをただ待つしかないのか…」と話す。一方、富士北麓地域の観光地は観光客が激減し、例年よりも閑散としている。

 「今回の宿泊はキャンセルさせていただきます」。1月下旬、富士河口湖町船津のホテルに旅行代理店から送られてきたファクス。新型コロナウイルスによる肺炎拡大を受け、中国が海外への団体旅行の禁止措置を取ったことを説明する文書とともに、数百人分の予約を取り消す複数の団体名が記されていた。

 このホテルは120室を備え、宿泊客の半数以上を訪日外国人が占める。中国人観光客のキャンセルは先月末の団体旅行の禁止措置後に急増し、個人客にも波及。1日平均120人の予約が消え、2月末までの予約分で3千人以上のキャンセルが確定した。

 現状を打開しようと、通常よりも料金を安くした宿泊プランを新たに用意。旅行代理店を通じて販売を試みているが、「とても穴埋めはできない」と男性社長。「影響は計り知れない」と肩を落とす。

 極端な稼働率の低下でホテル全体の1日当たりの仕事量も減少。社員やアルバイトの人数に“余剰”が生じているが、必要以上に休みを与えるなどの対応は取っていないという。

 男性社長は「宿泊施設の多い富士北麓地域で働き手の確保は重要。スタッフを休ませれば他の施設に流れてしまう可能性があり、普段の状態に戻った時に十分に営業できなくなる」と苦しい胸の内を明かす。

 新型コロナウイルスの終息が見通せない現状に、懸念を強めている。2、3月に予定されていたシンガポールからの7団体約300人の予約もキャンセルの連絡が入っている。男性社長は「このまま感染が広がれば、県のインバウンド観光全体に影響が出る。廃業するホテルが相次ぐ事態になりかねない」と訴える。

(2020年2月8日付 山梨日日新聞掲載)

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