2020.4.02

避難計画見直し必至

富士山噴火、溶岩流当初より早く

 30日に公表された改定富士山ハザードマップの中間報告では、小規模噴火による溶岩流の被害想定が公表された。だが、中規模、大規模噴火のシミュレーションは2020年度末にまとまる予定で、影響範囲が大幅に拡大することが想定されている。小規模噴火の想定では、避難までの猶予時間が短くなったことを県側が衝撃を持って受け止めたが、大規模噴火では影響範囲の拡大に伴って、円滑な避難に関する難題が浮上する見通し。避難計画の見直しは避けられない。

 「富士吉田の市街地に想像以上に早く、溶岩流が流れてくる。大きな衝撃だ」。長崎幸太郎知事は30日に行われた中間報告の記者会見で、驚きを隠さなかった。

 中間報告によると、雁ノ穴火口(富士吉田市)に近い場所から溶岩流が発生した場合、富士吉田市の市街地への到達時間は約2時間。現行ハザードマップより約10時間早い。火砕流は避難路として使うことが想定される東富士五湖道路を寸断するケースがあった。

溶岩流および火砕流シミュレーションイメージ拡 大
 改定マップの検討委員会委員長で県富士山科学研究所の藤井敏嗣所長は今回の中間報告結果は「あくまでも可能性。必ず雁ノ穴(火口)から(溶岩流が)来るなどと恐れる必要はない」とした上で、「平穏な時期にいろんな備えをしておくこと、できるだけ逃げられる体制を整えておくことが重要だ」と強調する。

 一方、20年度末に公表される中規模、大規模噴火のシミュレーションでは、現行マップで都留市までとしている影響範囲の拡大が指摘されている。マグマ噴出量は、大規模噴火では現行の約2倍となる約13億立方メートルと見積もっている。藤井所長は「大規模になれば数十キロにわたって溶岩が流れるということが起こり得る」と話す。

 山梨、静岡、神奈川3県などでつくる富士山火山防災対策協議会が15年に策定した広域避難計画では、県内富士北麓6市町村の住民約9万2600人が国中など17市町村へ避難することとしている。富士北麓にとどまらず、県東部まで影響範囲が拡大すれば、避難が必要な住民も増え、円滑な避難は一層難題となる。

富士山噴火で火砕流が起きた場合、最長の想定到達範囲前 提
 県富士山科学研究所の吉本充宏主幹研究員は「避難計画を修正する必要がある。避難路として東富士五湖道路が使えないことも前提としなければならない」と指摘する。

 協議会は20年度に完成する新たなマップを踏まえ、21年度以降に広域避難計画の改正に着手する方針だ。現行の計画に基づいた実動訓練では避難時の車の渋滞や、高齢者ら要支援者の避難方法の確立など課題が指摘されている。

 富士山噴火については火口位置も含め、予知が難しいのが現状。これまでの課題に加え、避難までの猶予時間の短縮と影響範囲拡大という難題にどう取り組むのか。

 長崎知事は改定版マップを基にした避難計画と、検証のための訓練を重ねる必要性を強調し、こう言った。「いかに避難を迅速にするかの一点に尽きる。確かにいつ起きるか分からないが、準備と訓練を進めていけば決して危ないものではない」

(2020年3月31日付 山梨日日新聞掲載)

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