2020.5.18

富士山、今夏登れず

山梨県、吉田口を通行止め

 山梨県は15日、富士山吉田口登下山道について、7月1日から9月10日までの夏山シーズンは通行止めにすると発表した。新型コロナウイルス感染拡大で山小屋や8合目救護所の休業が決まり、登下山道の維持管理ができず、登山者の安全が確保できないことなどを理由とした。富士吉田市によると、吉田口登山道を利用した昨年の登山者は約18万6千人、毎年20万人前後が訪れている。富士山の歴史に詳しい専門家は「記録が残る限りで、吉田口登山道が閉鎖されるのは初めてではないか」としている。

 県によると、通行止めにするのは富士山吉田口登山道の中の茶屋~富士山頂(14.4キロ)と、富士山5合目駐車場~佐藤小屋(1.4キロ)。山頂から佐藤小屋(6.4キロ)の下山道も閉鎖する。通行止め開始地点はバリケードを設置するなどして登山者の進入を防止する。

 登山道に接続する県営林道の滝沢、侭下、細尾野、富士の4路線も通行止めにする。16日に冬季閉鎖を解除する予定だったが12月9日まで閉鎖を継続する。

 山梨県側の山小屋などでつくる富士山吉田口旅館組合(中村修組合長)は4月末に、全16軒の山小屋が今夏は休業することを決定。富士吉田市の堀内茂市長と中村組合長は今月1日、長崎幸太郎知事に登下山道の閉鎖を求める要請書を提出した。

 関係法令では県道の登下山道を感染症対策のために通行禁止にできる規定はない。県は山小屋や8合目救護所の休業が決まったことを受け、登山者の安全確保や登下山道の維持管理ができないことを理由とした。夏山シーズン中は登山道の落石対策に向けた調査や路面の補修などを行う。

 同市のふじさんミュージアムの学芸員、篠原武さん(40)によると、1707年の宝永の噴火の翌年も吉田口登山道が通行止めになったとの記録はない。篠原さんは「文献が残っている範囲で登山道が通行止めになったのは初めてではないか」と話した。

 堀内市長は「夏山シーズン中の混乱を未然に防ぐための閉鎖の決断に感謝している。山梨県の英断に静岡県側も同調してもらえると確信している」とのコメントを出した。

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