2020.5.20

県内観光業、戻らぬ客足

宣言解除後、事業継続へ危機感

 山梨を含む39県を対象とした緊急事態宣言の解除で、経済活動が徐々に再開される一方で、感染拡大期に宿泊予約キャンセルが相次いだ県内の観光業は先行きを悲観する見方が広がる。富士山の登山道閉鎖、花火大会の相次ぐ中止などで、例年多くの人が訪れる夏場も観光資源に乏しく、宿泊予約も低調。宿泊業の関係者は「事業継続が危うい」と悲鳴を上げる。

 「宣言解除後も予約の電話は鳴らない。開店休業に近い」。富士吉田市でホテルを経営する男性は、空欄がほとんどの予約台帳を示して嘆いた。3月以降の宿泊者は例年の1割。外出自粛が呼び掛けられたゴールデンウイーク期間中の宿泊者は数人だった。解除に伴う経済活動の再開に淡い期待を抱いたが、客足が戻る気配はない。

 このホテルは金融機関から感染拡大に伴う制度融資を受けたが、「売り上げの減少が大きく、焼け石に水の状態」。男性は「コロナの影響は長期化するだろう」との見方を示し、事業継続への危機感を募らせる。

 富士北麓地域では毎年8月に富士五湖で行われる花火大会の中止が決まり、富士山吉田口登下山道の夏山シーズンの閉鎖も決まった。例年多くの観光客が訪れるイベントが乏しい状況で、富士河口湖町内の旅館経営者は「中止の影響は大きく、7月以降の予約はゼロ」と明かす。

 別のホテル経営者は雇用調整助成金や持続化給付金の活用も検討しているが、「この状態がさらに数カ月続くと休業も視野に入る」と危機感を募らせる。

(2020年5月18日付 山梨日日新聞掲載)

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