2020.7.04

富士山5合目ひっそり

登山道閉鎖の夏山、悪天候で幕開け 観光業者「経営厳しい」

観光客らの姿がなく、静かな富士山5合目。今年は吉田口登山道が閉鎖され、悪天候も重なり、ひっそりとしていた

 富士山に登れない異例の夏山シーズンが始まった1日、例年は登山客などでごった返す5合目に人影はほとんどなく、静かな幕開けとなった。吉田口登山道の閉鎖に加え、悪天候で富士山有料道路(富士スバルライン)が通行止めになる時間帯が多かった。一方、5合目の神社で行われた神事や富士講信者によるお焚き上げでは、参加者が新型コロナウイルスの早期終息を祈願。登山客を案内するガイドは麓のごみ拾いをし、富士を仰ぎ見る夏の環境整備に精を出した。

 「長年営業しているが、こんなに人がいない7月1日は初めて」。5合目の売店「小御岳茶屋」のオーナー小佐野美香子さん(57)は、人の姿がほとんどない5合目を見てつぶやいた。

 例年は御来光を目当てに登頂する登山客や外国人観光客の姿が目立つが、この日はおらず、小御岳茶屋には来店客が一人もなかったという。小佐野さんは「外国人観光客や国内の団体客の姿はほとんどない。経営が厳しい夏山シーズンとなりそう」と話した。

 この日は悪天候に見舞われ、人出の少なさに拍車が掛かった。県道路公社によると、富士スバルラインは午前7時~10時半と午後0時15分~5時まで大雨や倒木、強風のため通行止め。通行車両は34台にとどまったという。

 県は吉田口登山道の5合目入り口でゲートを封鎖し、「この先通行止め」と記された看板を設置。監視員を配置し、監視カメラなども設けている。この日は登山者の姿はなかったが、県世界遺産富士山課は「安全を確保するためにも、登山しないよう呼び掛けていく」としている。

 一方、富士山の登山者を案内し、自然や文化的な特徴を紹介する登山ガイドらはこの日、鳴沢村内でペットボトルや空き缶などの回収に精を出し、24キロのごみを拾った。活動を呼び掛けた「マウントフジトレイルクラブ」の太田安彦代表理事は「富士山で登山者の案内ができず非常に残念」と語ったが、「今年は麓の美化活動に専念し、観光客に富士山を楽しんでもらえるよう活動したい」と話した。

 5合目の冨士山小御嶽神社では、小佐野正史宮司が観光客らの安全や新型コロナの終息を願う祝詞を奏上し、関係者ら10人が玉串を奉納した。

 北口本宮冨士浅間神社近くの大塚丘では、富士吉田市上吉田地区の御師の家の当主でつくる「冨士山北口御師団」がお焚き上げを行った。富士講の教えを説く「扶桑教」は例年、富士山7~8合目まで登って神事をするが、今年は麓のみで実施。「扶桑教」の西村裕子さん=神奈川県=は「富士山に登れないのはさみしく、少しでも富士山の近くにと思い来た。新型コロナが早く終息し、来年は登ることができればうれしい」と話した。

(2020年7月2日付 山梨日日新聞掲載)

広告
月別
年別