2020.7.09
富士山の魅力、図鑑に
県科学研、豊かな自然解説
県富士山科学研究所は、富士山5合目の地質や動植物の特徴を紹介する「富士山境目図鑑」を発刊した。同研究所が一般向けの書籍を作ったのは初めて。高山帯と亜高山帯の“境目”となり、豊かな自然環境が見られる5合目の魅力を発信しようと製作。写真を多く取り入れ、研究員の調査テーマごとに分かりやすく解説している。
全8章で構成。御中道のルートや富士山の火山活動、カラマツ林といった樹形、生息する動物の種類などを、研究員の調査内容を交えながら取り上げた。動物生態の章では、亜高山帯で生息するカモシカを紹介。同じ大型草食獣で群れをつくるニホンジカが増加傾向にある実態から、今後個体数が減少する可能性を指摘している。
同研究所はこれまで研究員の調査内容を一般に知ってもらえる機会が少なかったため、2年前から図鑑作製に着手。藤井敏嗣所長(73)と、哺乳類や鳥類、植物、地学を専門分野とする研究員4人で執筆した。本はA5判、158ページで2200円(税別)。丸善出版から発刊し、全国の書店で取り扱っている。
藤井所長は「景色だけでなく火山や動植物の観点からも富士山を見直してもらい、新しい魅力を知ってほしい」と話している。
(2020年7月7日付 山梨日日新聞掲載)
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