2020.7.27

郡内織物、織機を後世へ

3Dプリンターで希少部品再現 県が製造、産地維持

50年ほど前に導入された織機。故障した際、部品の確保が難しくなっている=富士吉田市小明見2丁目

50年ほど前に導入された織機。故障した際、部品の確保が難しくなっている=富士吉田市小明見2丁目

 伝統産業の郡内織物を生産する織機を後世に残すため、山梨県が織機の部品を3Dプリンターなどで製造する取り組みを始めた。織機は40~50年前に導入されたものが多いが、故障しても製造メーカーの廃業などで部品の調達が難しくなっているため。安定的に部品を供給する体制を整え、産地の維持を図ることが狙いだ。

 県産業技術センター富士技術センターによると、織機は昭和40年代に製造されたものが多く、近年は故障が相次いでいる。だが、メーカーが製造を中止したり、倒産したりして部品の確保が難しくなっており、故障した場合は閉鎖した織物工場の織機から部品を取り出すなどして補修しているという。

 センターはこうした状況を受け、本年度から織物業者を訪問するなどして不足する恐れのある部品を調査。対象の部品を選定した上で形状などをデータ化し、3Dプリンターを使って代替品を製造する方針。金属加工業者などに製造を依頼することも想定している。

 戦後、高品質な郡内織物は全国で人気を博し、織り機がガチャンと動けば1万円になることを例えて「ガチャ万」と呼ばれた。ピーク時の1974年の生産額は379億8千万円に上ったが、安価な外国製品の台頭などで2010年には69億7600万円に低迷。近年は若手経営者らが製造を手掛けるなどして産地が活性化し、80億~90億円前後で推移している。

 舟久保織物(富士吉田市)は8台の織機を稼働しているが、最も古い織機は60年以上前に導入。代表の舟久保勝さん(61)は「部品の確保が難しくなっている。部品を安定的に供給してもらえれば産地の維持につながる」と期待する。

 センターの鈴木文晃主任研究員は「織機が故障した際、修理する部品を確保できなければ廃業する業者も出かねない。伝統産業が継続できる取り組みにしていきたい」と話している。

(2020年7月25日付 山梨日日新聞掲載)

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