2020.8.12

登山道封鎖、来訪者を制限 5合目は…

景色一変、外国客少なく 自転車愛好家の姿目立つ

 登山道が封鎖され、史上初めて登ることができない今夏の富士山。新型コロナウイルス対策として、県は5合目を訪れる観光客の人数や車の台数を制限している。外国人観光客でごった返していた5合目はどうなっているのか。シャトルバスに乗って向かった。

 現在、富士山有料道路(富士スバルライン)はマイカー規制期間中。麓の富士山パーキングに車を止め、シャトルバスに乗ることにした。

 「車内での手のアルコール消毒にご協力をお願いします」。フェースシールドを着けた運転手に声を掛けられた。乗降口に用意されたアルコール消毒液を手にかけると、バスに乗り込んだ。

◎バス2台だけ

 座ったのは最後尾の座席の窓側。2席空けて親子が反対側の窓側に腰掛けた。乗り合わせたのは20人程度。いつもなら、倍以上の客が乗っていることを考えると、だいぶすいている印象だ。「外気を取り込んで換気を行っております。マスクを着用し、大きな声での会話はご遠慮ください」。強めの冷房の風が心地よく感じた。

 訪れたのは8月1日と8日。いつもなら8月第1、2週の土曜日は5合目観光のピークに当たる。2年前に取材したときも観光客や登山客でごった返し、すれ違うのも難しいほどだった。

 だが、1日の5合目は景色が一変していた。あの時の混雑ぶりはなく、観光客は100人いるかいないか。リュックサックを背負った人は一人も見かけなかった。トイレ待ちの列もなく、すんなり利用できた。駐車場にびっしり並んでいた大型バスも、この日は2台だけだった。

 3連休初日の8日も状況は変わらなかった。人出を調査していた県富士山科学研究所の堀内雅弘主幹研究員によると、午前10時ごろから午後1時ごろまでの来訪者は約200人で、このうち70人以上は自転車愛好家。「連休初日だが人出は少ない」という。

 大きく変わったのが外国人観光客の数だ。2年前は飛び交っていた中国語や英語は耳に入ってこない。土産店「こみたけ売店」の小佐野昇一社長は「富士登山ができないことに加えて、海外と往来ができないのが大きい。こんなに観光客が少ない年は初めてだ」と話していた。

◎ビニール越し

外国人観光客や登山者がいない一方、自転車愛好家の姿が目立った

外国人観光客や登山者がいない一方、自転車愛好家の姿が目立った

 外国人の代わりに目についたのが、自転車の愛好家だ。5合目までの道中、ロードバイク型の自転車に乗った人を20人以上見かけた。

 訪れたのが昼時だったので、飲食店で昼食を取ることにした。ここでも待たずに入店。店内は席ごとにビニールシートで仕切られていた。夫婦で入店した人もビニール越しに会話していて、「不思議な感覚です」。

 5合目を訪れる人が少ないため、シャトルバスの運行台数は1時間に1本程度。2年前はひっきりなしに行き交っていたが、今夏は乗り過ごすとしばらく足止めを食うことになる。

 「いつもの夏」とは違う光景が広がっていた5合目。土産店では入り口で検温とアルコール消毒を呼び掛け、レジ前には感染予防のためのシートが設置されていた。徹底した感染対策からは、霊峰から感染者を出さない、という観光業者の強い思いがうかがえた。

(2020年8月10日付 山梨日日新聞掲載)

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