2020.8.20

導流堤、完成に6年以上

落石対策 県、富士山で来秋着手

新たに導流堤を整備する場所 県は17日、富士山の吉田大沢に整備を計画している新たな導流堤について、来年度から建設工事を始める方針を明らかにした。昨年9月に富士山で落石が発生し、7~8合目の山小屋の屋根などが損傷した問題を受け、吉田大沢の上から落ちてくる岩や石の軌道を変え、山小屋や登山者の安全確保を図るために整備。完成には6年以上かかる見通し。

 県道路管理課によると、新たな導流堤は富士山8合目の山小屋「元祖室」西側の吉田大沢に整備する計画。本年度は詳細な設計に着手しており、来年の夏山シーズン終了後の9月10日以降に工事を開始する予定。1年のうち工事できる期間は降雪前の2カ月間を想定しており、完成には6年以上かかる見通し。

 落石事故は昨年9月9日に発生。山頂付近で崩れた岩が登山道西側の吉田大沢に下ったとみられる。県は、落石が標高3200メートル付近の岩に衝突し、跳ね上がるなどして軌道を変え、7~8合目の山小屋にぶつかった可能性が高いとしている。けが人はなかった。

 県は落石事故の発生当時から調査を続け、対応策を検討。今年7月には昨年9月に落石がぶつかり、跳ね上がったとみられる岩を破砕するなど措置を講じたという。

 県は1990年から富士山の登山道の安全対策として導流堤の整備を進め、吉田大沢などで現在22カ所に設置している。

 新たな導流堤の整備は17日に開かれた県議会の富士山保全促進議員連盟の研究委員会で、県が報告した。

(2020年8月18日付 山梨日日新聞掲載)

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