2020.8.30

5合目観光、背水の秋

県、富士山滞在制限を撤廃 観光業「修学旅行訪問に期待」

滞在の時間制限撤廃、人数の上限の緩和が決まった富士山5合目

滞在の時間制限撤廃、人数の上限の緩和が決まった富士山5合目

 山梨県は27日、富士山5合目の訪問者の滞在時間制限を9月11日から撤廃し、一度に滞在できる人数の制限を緩和すると発表した。これまで滞在制限がネックで団体旅行の誘客が進まなかったが、観光事業者は「修学旅行などの需要もあり、今後の集客に生かせる」と力を込める。制限が始まった6月以降、人数制限を超えた日は1日もなく、5合目店舗の関係者は「想定以上に客が来なかった」と言い、感染症対策に注力しつつ緩和後の巻き返しに期待した。

 「今年の夏の観光客は異例の少なさ。規制が緩和されることで観光客が増えることを期待したい」。富士山五合目観光協会の小佐野昇一会長は制限の緩和を歓迎した。

 麓と5合目を結ぶ富士山有料道路(富士スバルライン)でマイカー規制が始まった7月11日から8月27日までに通行した観光バスなどの特大車は63台で、1万5千台以上だった昨年同期から激減。県は5合目の滞在者の上限を750人と設定し、バスの入場は35台に制限。今月27日までに上限を超えた日はなかった。

 5合目にある土産物店の売り上げは大きく落ち込んだ。5合目の売店「小御岳茶屋」は夏山シーズン中の来店客数が例年の1割未満だといい、担当者は「想定以上に少なかった。秋には多くの行楽客を迎えたい」と話した。

 5合目にある全ての売店はレジにビニールシートを張るなど感染防止策を講じ、県が認定する「やまなしグリーン・ゾーン認証」を取得。小佐野会長は「各店で入場制限を設けるなど対策を徹底し、5合目から感染者を出さないようにしたい」と話した。

 麓の富士河口湖町観光連盟の山下茂代表理事は「富士五湖地域の観光には5合目が欠かせない」と指摘。制限の緩和で5合目観光が活発化するとみていて、「麓にも多くの観光客が訪れるきっかけになる」と期待した。

 山下代表理事によると、団体旅行では5合目の滞在制限の影響を受けることを危惧し、5合目を含めたツアーを断念する事例が相次いだという。「観光に訪れなかったり、ホテルなどでの宿泊につながらなかったりした」と夏の観光シーズンを振り返る。

 ただ、他県の学校が秋に予定している修学旅行の宿泊先として、感染者が多い東京都ではなく、富士河口湖町内のホテルや旅館を選ぶ動きが出ているという。山下代表理事は「制限の緩和は追い風になる。秋の行楽シーズンに向けて、学生の団体旅行なども積極的に呼び込んでいきたい」と話した。

(2020年8月28日付 山梨日日新聞掲載)

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