2020.9.25

富士山噴火、避難計画17%

県内山小屋など 静岡は9割、策定に遅れ

避難確保計画の策定状況 富士山の山梨県側で、活動火山対策特別措置法で義務付けられている避難確保計画を策定した民宿などは12施設で、対象の17.4%にとどまっていることが22日、地元市町村への取材で分かった。計画を策定するためには地元自治体が対象施設を「避難促進施設」に指定する必要があるが、指定作業が遅れていたことが要因。静岡県側は対象施設のうち9割以上が計画を策定しており、山梨側の対応の遅れが浮き彫りになった。

 御嶽山(長野、岐阜県)の噴火を受け、2015年7月に活動火山対策特別措置法が改正され、火山がある地域で不特定多数の人が集まる山小屋や民宿、レジャー施設などに避難確保計画の策定が義務付けられた。富士山の対象は、山梨、神奈川、静岡3県などがまとめた被害想定で第1、2次避難対象エリア内の施設。地元自治体が避難促進施設として指定し、各施設が計画を策定する。

 地元自治体によると、山梨側は富士吉田、富士河口湖、鳴沢の3市町村内の山小屋や民宿、レジャー施設など計69カ所が計画策定が義務付けられる避難促進施設となる見通し。しかし、これまでに計画を策定したのは富士河口湖町の精進湖民宿組合の10施設と鳴沢村内の2施設にとどまっている。組合の10施設は現時点で避難促進施設に指定されていないが、指定を見越して策定した。

 一方で、静岡県などによると、地元の5市町が対象の全65施設を避難促進施設として指定し、63施設が計画を策定済み。小山町の担当者は「計画を基に避難訓練を実施している」と成果を強調する。

 山梨側で計画の策定率が低いのは、対象施設を避難促進施設に指定する作業が遅れたためとみられる。富士吉田市は今年2月に避難促進施設に21施設、鳴沢村は6月に22施設を指定したが、26施設が対象となる富士河口湖町は近く指定する見通しだ。

 富士河口湖町の担当者は「避難促進施設の指定で『客足が遠のく』などの風評被害を懸念する声があり、丁寧に協議を進める必要があった」と説明。富士吉田市の担当者も「一方的に指定はできない。山小屋などと丁寧に議論を進めてきた」と話す。

 対象施設が含まれている富士山吉田口旅館組合の中村修組合長は「登山者の安全を確保するためには計画は必要。市などと連携しながら早期に計画をまとめたい」と話した。

 県火山防災対策室の担当者は「富士山はいつ噴火するか分からず、早期に計画を策定する必要がある。計画策定に向け、自治体や施設を支援していきたい」としている。

(2020年9月23日付 山梨日日新聞掲載)

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