2020.12.05

富士登山鉄道、県が素案

事業費、最大1400億円

 山梨県は2日、富士山の麓と5合目を結ぶ「富士山登山鉄道構想」を巡り、東京都内で有識者による検討会の理事会を開き、民間による整備で総事業費は約1200~1400億円とする素案を示した。年間利用者は最大で300万人を見込み、「開業当初から黒字化が可能」とした。県は本年度中に基本構想を取りまとめる方針。

 素案では、富士スバルライン上(延長28.8キロ)に次世代型路面電車(LRT)を複線で敷設する前提で、起点、終点、中間の計6駅を整備する条件で概算事業費を試算。軌道や車両基地などに560億円、電力通信設備などに500億円、車両関係費に170億円、上下水道などライフライン整備に100億円程度の費用がかかるとした。

 年間利用者数は海外の登山鉄道などを参考に1万~2万円の運賃水準を想定し、100万~300万人程度になると試算。年間利用者約300万人、往復の運賃1万円、概算事業費約1400億円などの条件で試算した場合、損益は開業以降黒字になるとし、「民設民営でも採算性が見込める可能性が高い」と評価した。

 一方、県は雪崩や落石の調査結果も説明。文献記録やドローン、現地調査などにより、大沢駐車場付近など4~5合目の14カ所で「雪崩が到達する可能性がある」とした。このうち5カ所は導流堤や洞門などを設置しているが、残り9カ所は未対策として「安全を確保するための検討が必要」と説明した。

 素案は理事会の意見を反映した上で、来年2月に開催予定の総会で改めて提示する。長崎幸太郎知事は会議後の取材に「粗削りだが、構想の実現の可能性を示すことができた。課題を踏まえて案を磨き上げたい」と述べた。長崎知事は構想案が固まり次第、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に自身が直接出向いて説明する考えも示した。

(2020年12月3日付 山梨日日新聞掲載)

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