2020.12.18

登山鉄道「雲の上で描いた画餅」

富士吉田市長、県に苦言

 富士吉田市の堀内茂市長は15日の定例会見で、富士山の麓と5合目を結ぶ「富士山登山鉄道構想」で県がまとめた素案について「雲の上で描いた、絵に描いた餅だ」と述べ、構想を巡って地元住民との意見交換がないことに強い不満を示した。事業費の試算に自然災害への対策費が含まれていないことを疑問視したほか、災害対策のインフラ整備による景観悪化にも懸念を示した。

 登山鉄道構想を巡り、県は2日、東京都内で開いた有識者会議の理事会で素案を提示。堀内市長は、15日の会見で「富士山を守り続けてきた地元の人たちの意見を聞かず、『雲の上の議論』だけで素案が示されたことに違和感を感じざるを得ない」と指摘。「長崎知事には多くの人たちの意見に耳を傾けてほしい」と求めた。

 県は素案で、富士山有料道路(富士スバルライン)上に次世代型路面電車(LRT)を複線で敷設することを想定。民間による整備で総事業費を約1200億~1400億円と見込んでいる。

 これに対し、堀内市長は「富士スバルラインは毎年、土石流などに見舞われており、自然災害に対処する周辺整備のコストも必要になる」と述べ、事業費の試算を疑問視。災害対策インフラ整備によって富士山の景観が損なわれることへの懸念も示した。

 登山鉄道の実現で富士山の通年観光が可能になるとされていることにも触れ、「富士山からの恵みは今も十分に享受しており、冬場は人の出入りを制限すべきだ。富士山をこれ以上、金もうけの道具に使ってほしくない」とも述べた。

(2020年12月16日付 山梨日日新聞掲載)

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