2021.2.14

春節 中国人の姿なく

富士北麓「国内客に注力」

 新型コロナウイルス感染拡大が続く中、春節(旧正月)に伴う中国の大型連休が始まった11日、例年は多くの中国人観光客が訪れる富士北麓地域は国内観光客の姿が目立った。冬場の閑散期では書き入れ時だが、首都圏の一部などで緊急事態宣言が続くため観光客はまばら。関係者からは「感染対策を徹底し国内観光客の呼び込みに力を入れるしかない」との声が聞かれた。

 「春節でこれほど観光客が少ないのは、インバウンド需要が伸び始める十数年前以来だ」。忍野村の忍野八海で土産店を営む女性(70)はマスク姿の日本人観光客を見ながらこう漏らした。例年は中国人観光客が乗る観光バスで駐車場が満車になるが、この日観光バスは1台もなかった。

 県観光文化部によると、2020年1~10月に山梨県内での中国人延べ宿泊者数は7万5540人で、ピークだった前年同期から89%減少。春節の時期は例年、多くの中国人観光客が来県するが、県観光振興課の担当者は「入国制限が続いているため、今年は観光目的での宿泊者はゼロに等しい」と話す。

 富士河口湖町大石のホテル「星のや富士」は館内メンテナンスで2月5~12日を休館とし、その後の春節の大型連休中の宿泊予約は前年を下回っている。国内観光客向けに旅行とテレワークを一体化した「ワーケーション」の需要を取り込むプログラムを強化しているといい、ホテル担当者は「国内のニーズに活路を見いだしたい」と明かした。

 富士河口湖町観光連盟の山下茂代表理事は「例年だと、中国人観光客で町内のホテルやペンションなどはまんべんなく満室となっていた。春節に限らず、感染対策をしながら国内観光客に町をPRしていく」と話している。

(2021年2月12日付 山梨日日新聞掲載)

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